雨の降る材木置き場で
丸太の隙間に震える子猫を見たことがある
その記憶が確かならば
何故わたしは
抱き上げなかったのだろう
悲しみ、と呟きながら
何もしなかったわたしがそこにいる
今もわたしは
雨のなかで
震えながら大きな瞳で見上げるひとに
独り言を呟いているのだろうか