夜の声
ひとつの世界
その縁を染め上げる夕陽
雪のように
無数の記憶の微粒子が降りしきる
その赤い一粒を頬につけて
少女がふりかえる
木造の商店街
雑然とした店の奥
剥げた丸椅子に座る女の額に
夕日がさしていた
・・・花火がはじまるよ・・・
誰もいない裏道に花火の音
冷たい小犬を抱いた少女が
叫ぼうとして開いた口の
深い闇
夜が
来ていた