祭り 


林の向こうから
水鳥のはばたく音が
宵空に鳴り響いた
山裾に灯る一列の明かり
誰もいないのに
祭りがはじまろうとしている

アセチレンランプの光のなかに
かすかな気配だけがある
透明に寄り添う
昭和四十八年の死者たち

このなかには
あの日の
彼女がいる
頬に泥をつけたまま
泣き顔のような笑顔で
わたしを見つめて