まなざし


低くつらなる丘陵の上に
光を含んだ雲が浮かんでいた
夜明けだろうか
それとも夕暮れだろうか
まなざしだけが
ゆっくりと動いていった
確かにいつかも
こんなふうに世界を見ていたことがある
景色ではなく
まなざしそのものが
懐かしい

その時も
誰かを愛していたはずだ