帰還
別れる今になって
はじめて
あなたに出会えた気がする
小学生の頃
学校を早退した帰り道
灰色の淋しい空間に入ったまま
途切れていた時間
お帰り、と裏口でささやくのは
顔のない母の影
長い
旅だったね
眩しい光りの下
白い病棟に歩むあなたが
不意にわたしに手を振る
・・・ありがとう
こんな男には
過ぎた報いだよ