朽ちた木の根元に倒れ
始発のベルを聞いた夜明け

列車は過去に行くのだろうか
それとも見知らぬ明日に

古い倉庫の前で
少女が髪をほどく
砂利道に落ちるリボン
その鮮やかな赤

金網にすがりつき
錆色の列車を見つめた
微笑む若い母に抱かれ
窓に顔を押し付ける幼女
その瞳のなかに
海の青がひろがる

風のない灰色の空に
うなだれた白い旗
その向こうに
線路は途切れていた