カムイ
列車の何両目だろう
半ば諦めながら空席を探し
ふと見つけたあなたの姿
あの頃と同じように
大きな瞳を窓の外に向けて
少し首を傾げている
立ち止まる間も無く
後ろから来る乗客に押されて
同じ窓の外を見た
真昼の光を受けて
輝く雪の平野
点在する家々
生きることが苦しいという感覚を
ふと思い出した
それが同時に喜びであったことも
ドアにもたれて
同じ方角を見つめ続ける
そんなありふれた感傷も忘れていた
何処で降りるのかもわからない
あなたの後姿が光の雪原に消える光景を
目を閉じて追い続けた