写真


一枚の写真の前に佇み
ただ見つめ続けた
あなたが不動であることに
どうしても耐えることができない

日付から
日付へ
何度も墜落しかけながら
跳び続けてきた
下にひろがるのは
底知れない闇に見えたが
この写真のように
薄い平面でしかないのかもしれない

何処に隠されたものがあるだろう
光と樹林のなかであなたは微笑み
見知らぬ通行人が
背後にひっそりと佇んでいる
(この構図は
ひとつの悪意に似ている)

「どうして
そんなに見つめるの?
まるでわたしが
幸福そのもののように」

あなたを
この構図に奪われ
見えない消失点に
どんな祈りを描いてみても
これは薄い平面
わたしにはどうしても
動かすことができない