祈り


きみが存在した、ということすら
確信を持てる場所はなかったのに
きみが消えた、ということを聞いて
はじめて存在し始めたものがある

きみの
憩いにも、
痛みにも、
喜びにも、
挫折にも、
それは少しも
関わらないはずなのに

存在し始めたもの
それは恐らく
きみを殺し続けること
空白の譜面に刻まれたリズムのなかで
単に生きているという
小さな勝利を噛み締めること

それを恥じる未明
きみはすでに

いない