初夏


洗濯物が微風に揺れて
列車は光を照り返し
山々は遠く青く
子供が白い石を蹴る
あたたかな初夏

子犬はもう何処にもいない
がらんとした真昼の庭に
子供はひとり佇む
小さなお墓

雲の縁が輝き
木々と花々がかすかに空を見上げる
白く乾いた遠い道を
のろのろと近づいてくる
小さな人影

不意に潮の香り
焼けた砂の上を
走り回る子犬の鳴き声
子供は
芝生の上で
いつのまにか眠っている
初夏の光を頬にあつめて