白のまなざし


白い心臓
白い壁
星の鐘の響き

雪の廊下を
軋みながら進む乳母車
水晶よりも冷たい
母のまなざし

雪の渦を赤く染めて
都市が燃え上がる
空の廃墟から
砂色の大時計が
気球のように沈んでくる

その扉を開いてはいけない
盲目のうなだれた男が
白い心臓を脈打たせながら
おまえを火炎の海へ
無言で突き落とすだろう

星の鐘の響き
母のまなざしだけが
ゆるやかに
壁を通り過ぎていく