遅刻


黒い子猫が
階段の一番下で
居眠りをしている
明るい秋の光りのなか
遠足に遅れた子供が
だれもいない教室から教室へ
旅をしていた
ひとつの部屋の窓辺に
逆光を浴びて佇む少女

・・・キミモ遅レタノ?

・・・神様ガ死ンジャッタノヨ。知ラナカッタノ?

気の所為か
暗くなった光のなかで
少女の長い髪だけが
燃えるようにきらめいていた