賭ける明日


わかっていたはずの孤独
雨にけむったあの町を離れて
ささやかれていた声が
はっきりと耳に届いてきた
わかって
いたはずなのに
あなたの肩は小さくふるえる

・・・あの町は
 あなたの生きる場所ではなかった

あなたひとりが
耐える悲しみなら
そう呟いて
肩を抱くこともできる
けれど
残してきた小さないのちたちが
ささやきの雨に濡れている
なぜ寒いのかも
わからないままに

すべてに
否とは言えない
雨のなかの
記憶の扉からは
透明な日差しもこぼれてくる
あなたと
いのちたちの笑い声が聞こえる

「幸福」という
言葉の詐術に
たとえ今、背を向けるとしても
賭ける、明日
何を賭け
何に賭けられているのか
ふるえる指に
たしかにつかみとるために

あなたと生きよう