1 古牧温泉(2004/11/17)


 平均年齢おそらく60代という高齢者団体(町内会)を率いて古牧温泉に行ってきた。会計なので実質幹事。細々とした旅行記は省いて面白かったエピソードをいくつか。

 初日の夜に部屋のメンバー5人(平均年齢やや低い)で三沢市街に研修(笑)に出かけた。クラブで飲んだあと満足いかない何人かは他のいいところはないかと居酒屋に寄って現地の人に聞くことになった。すでに午前2時。(もう帰ろうよ〜)という魂の叫びも届かず、「ラーメンあります」という小さな居酒屋に入った。
 入るとカウンターとボックス二つの小さな店で、50過ぎのおばさんがひとりで切り盛りしていた。客は誰もいない。ラーメン食べたいなと話すといきなりなまった言葉で「あれ〜なんでラーメンあるとわかったの?」と聞かれ絶句した。看板に書いてるじゃん・・・。

 しかもメニューはすいとんとラーメンのバリエーションがほとんど。居酒屋なのか、ここは?飲み屋情報もおばさんはほとんど知らない。とにかく腹ごしらえということで皆すいとん(珍しい!)がらみのメニューを頼んだ。わたしは「塩野菜すいとんラーメン」にした。
 注文したものがきたのでさあ食べようとすると、おばさんが「ちょっと待って」と近づいてくる。彼女はいきなりレンゲでわたしのラーメンのスープを取り一口すすった。

 「味見してなかったんだ〜。うん大丈夫だね」

 彼女はそのままレンゲをわたしのどんぶりに入れて立ち去った。酔っ払いとはいえさすがに呆然としたが、あまりに自然なふるまいに突っ込む言葉を失くした。しかも食べたらしょっぱい・・・(;´Д`)
 結局行き先が見つからないまま部屋に戻ったのは午前4時近かった。


 翌日は観光メインの日。奥入瀬渓流の散策などの後、十和田湖の遊覧船に乗りに向かった。昨夜のメンバーの一人Aは、あのラーメンのせいか知らないがずっと腹の不具合を訴えていた。
 遊覧船の待ち時間、皆でトイレに入った。大用のトイレのなかでうなっている声がする。「おおーいA大丈夫か」「悪い女でも食ったんか?」と町内のメンバーで笑いながらからかった。しかしトイレから出るとAがタバコを吸って佇んでいる。「あれ、トイレじゃなかったの?」皆呆然とした。全然関係のない人をからかっていだ・・・。その見知らぬ人はきっと泣いていたに違いない(-_-;)すいませんでした。


 帰りの飛行機。がらがらで皆ゆとりをもって座っていた。
 水平飛行に移った後、後ろのAが笑いながらわたしの肩を突付いた。
 ?
 「見てごらんよ、あれ・・・ぷぷ」
 見ると通路の向かいのIさんが、飛行機用のイヤホンを頭に載せてコードを顔の真正面に垂らしていた。おおっ(゜o゜;)
 「教えた方がいいよ」とAに言われ突っ込みを入れようとすると、新聞を抱えたスチュワーデスが近づいてきた。
 Iさんは渋い声で「北海道新聞ないかい?」と聞いた。
 「すいません、東京の新聞しかないんです」営業スマイルで答える彼女の肩はぷるぷる小刻みに震えていた・・・とても突っ込める状況ではない。
 何も言えないまま、Iさんはそのままのスタイルで最後までいたのである。