2 支配人伝説 2(2004/3/8)


 支配人とはじめて婚礼の仕事をしたのは、北海道では少ない招待制の結婚式の時だった。和洋中のコースメニューで一皿ずつ個人に料理を供する形式だった。素人同然のバイトがほとんどというスタッフも不安だったが、自信無さそうな支配人の態度が一番不安だった(汗)

 司会との打ち合わせ。配膳会社の派遣で来ているIさんが別のホテルの仕事で来ないので、わたしがサブとして同席した。
 彼はアルバイトのわたしをマネージャーと呼び先導(メイン)をやらせようとした。冗談ではない!もちろん支配人が本来する仕事ではないが、現有スタッフを考えれば彼しかいないのである。(このひと大丈夫なのか?)結局彼がメインをやることになったもののわたしの胸は不安でいっぱいになった。

 披露宴自体は少々トラブルもあったが順調にすすんだ。支配人の動きはぎこちなかったが何とかこなしていた。

 そして最後の重要イベント「両家花束」になった。わたしは会場後方に両家の両親を連れてきて並ばせ、マイクの準備をした。支配人が新郎新婦を連れてゆっくりこちらにやってくる。これが終わればあとは両家の挨拶と万歳三唱 そして退場しかない。何とかなったな・・・とほっとしていた。

 両親に花束を渡すとき、メインは写真撮影の邪魔にならないよう少し離れて姿勢を低くする。支配人も次の動作のためしゃがんで控えていた。拍手とフラッシュのなか、支配人はしゃがんだまま後ろにひっくりがえってしまった!

 わたしは驚きと同時にこみあげる笑いをこらえるのに必死だった。支配人は禿た頭まで赤くしながら口をもごもごさせながら起き上がった。伏目で周りなど見ていない。しかしわたしは数人の客が彼を指差して笑っているのをはっきり目撃してしまった・・・。


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