4 走れ、走れ(2003/12/17)


 地元に帰って農業をはじめた頃、4Hクラブでお世話になったYさん。信じがたいエピソードをいくつも持った人だった。ここではその一つを紹介したい。

 たしかわたしが地元に帰る前の年の話。

 彼は幅5mほどの農業用水路沿いを軽トラで走っていた。よそ見をしていて川に近づきすぎたYさんはあわててハンドルを切ったが何故か川の方向に切ってしまった(何でやねん・・・汗)

 軽トラごと川にダイビング。基幹の農業用水路なので水深も深く、完全に水没してしまった。彼は咄嗟にドアを開けて自力で脱出した。

 ここからの彼の行動が未だに理解できないのだが、川から這い上がった彼は近くの家に助けを求めに行くこともなく、濡れた上着を脱ぎ捨てて自宅に走り出した。格好悪いのでトラクターかユンボで何とか引き上げようと考えたというが、どう考えても無理だし、それならそれで電話を借りて自宅に連絡するのが普通だと思うのだが・・・。彼は10キロ(!)近くも離れた家に黙々と走り出した。

 いくら田舎道とはいえそこそこ車の往来がある。その上ちょうど小学生の帰宅時間で、上半身裸で濡れたジーンズから妙な音を出しながら走っていれば立派な不審人物、子供たちに追いかけられ「うるさい!」と怒鳴ると石を投げられたという(汗)

 やっと自宅にたどり着いたものの、家人に説得され、結局公的諸機関のお世話になった。わざわざ恥に恥を重ねるような行為だったわけだ。Yさんはこの日から地元の有名人になってしまった。


1 歳末警戒緊急連絡(2004/1/4)