1 沖縄雑感(2003/12/3)


 沖縄旅行というと、ひめゆりの塔など太平洋戦争の悲惨な記憶を留める場所が必ず観光コースに入っていると思っていたが、今回のパックツアーでは一つも行かなかった。修学旅行などは当然今もコースに入っているのだろうが、通常の観光でははずしているのだろうか。
 そうは言っても若いバスガイドの話には旧王国と太平洋戦争の事がよく出ていた。今は反米の影に隠れているが、その基底には「本土」への怨念があるような気がする。

 沖縄は佐藤内閣の時に返還されたが、当時小学生のわたしには事情が全然わからなかった。全共闘やベトナム戦争も同様だった。

 はじめて沖縄を強く意識したのは「Gメン75」という刑事ドラマだった。東京で起こった殺人事件が沖縄と密接な関係がありGメンたちが沖縄に行くが、そこの関係者たちは老若男女が「本土」の人間に嫌悪と怨念を持っていて捜査は難航するというような話だった。地上戦で亡くなった関係者の祖父(か祖母)の骨壷を、Gメンの一人が誤って足で転がしてしまい、埠頭に骨が散乱するシーンが強く印象に残っている。
 ちょうど戦後30年の特集が頻繁にメディアを賑わせていたから、かなり誇張もあったのかもしれない。しかし米軍基地は返還前と何ら変わりない状況(現在もそうだが)で、本土の捨石にされたという怨念は実際生生しかったと思う。

 沖縄戦に関する著作はいくつか読んだ。牛島満中将率いる第32軍の功罪がいろいろな観点から語られている。おそらく九州上陸のオリンピック作戦が行われても膨大な民間人が犠牲になっただろう。沖縄への差別は確かにあったが、「まず軍ありき」の日本軍そのものを批判する必要があると思う。


沖縄関係