2 白い巨塔(2003/11/7)


 白い巨塔が再度ドラマ化されてそれなりに評判になっているようだ。原作も読み、前作の田宮財前の強烈な印象が記憶にあるので唐沢財前はちょっと小粒な感じがする。筋肉質で精力に満ち、倣岸な自信家という原作のイメージにどうも唐沢は合わない。周りの悪党も前作のほうが濃かった。

 山崎豊子の小説は理想主義的人間観が濃厚で、人物の配置があざといところが鼻に付くところが確かにある。しかし膨大な資料と格闘しながら粘り強く物語を構成する真摯さがあって、今のわたしにはアンチ・ロマンよりも新鮮だ。一見前衛的に見えながら文学的自意識を一歩も出ない(実はどっぷり文学に依存している)小説など退屈で仕方ない。

 もう原作も前作も知っているので興味は演出だけだが、今回のドラマは大河内教授の配役にそそられるところがある。原作のイメージとは異なるが妙な存在感がある俳優だ。この役は裁判でも重要な役割を果たしているので楽しみだ。