8 恨みでもあるのか?(2003/9/20)
掲示板でたまにもめる旧友d。彼がうつ病で職を辞める前は、年に1回ぐらい彼の住む札幌近郊の町へ遊びに行っていた。
学生時代その町に住んでいて、田舎に帰ってからも大都会札幌への郷愁が強かった。旧交をあたためるとか青臭い文学談義をすることよりも、
あんなところやこんなところ
に行きたい(笑)欲求が強かった。おじさんの王道を歩んでいたから。
しかし、dは何か恨みでもあるのかろくなところに連れて行ってくれなかった。
ビルの地下にある水道管やボイラー管が剥き出しのアングラバー。どよーんとした前衛ロックの流れる店内で長髪の暗いマスターを前に飲んでも少しも面白くなくかった。それどころか世間話をdにしだした途端に音楽が変わり、dは少しあせった表情で「これは気に食わない客に帰れってサイン
なんだ・・・」と耳打ちした。結局10分もいないでそこから退散した。
スナックばかりのビルに行ったのはいいのだが、何故かいかにも暇そうなスナックに連れていかれた。中年おやじがママを前に吉幾三の「酒よ」を熱唱している。客は彼だけで、店も中年の地味なママひとりでやっていた。しかもこのママよほど目が悪いらしく分厚いメガネをかけていて目が二倍
ぐらいに見える。思わず吹き出しそうになった。筆ぺんで手書きした名刺
をくれた時はせつなくて涙が出そうだった。こんなスナックなら田舎にもいっぱいある!
結局酔ったおやじにからまれながら貴重な札幌の夜をむなしく過ごしたのである。
最初のバーとは逆のケースもあった。有名なジャズバーに連れていかれたのだが、「私語はだめだからな、常連ににらまれるから」と釘をさされた。あのバーの件があるのでわたしはおとなしくしていたのだが、今度は彼が話しかけて来た。(話と違うじゃん!)
振り返るとカウンターのひとりのおやじがにらむようにこちらを見ている。「やばいよ、帰ろう」そうして、またもむなしく退散したのである。
dがそういうところにしか行かないならまだ話しはわかるが、電話ではあんなところやこんなところの話ばかりしていたのだ。dよ、絶対おれに恨みがあったんだろう・・・?(笑)