3 確かに大きくはなるだろうが (2003/8/9)


 冬のバイト先は宴会と仕出しがメインの小さな会館。しかしもともとは野菜と魚を主に扱う卸の店だった。店は今も営業していて会館に隣接して内部でつながっている。いまでも田舎には商店の二階が宴会場という形式のところがあるが、それよりもやや本格的に独立したのがこの会館である。

 店の仕事はほとんど病院関係への食材配送だが、それをほとんどまかされているのが40代の副店長Hさんである。昨年の終わりごろだろうか、彼は内臓疾患で二週間ほど入院していた。忙しい時期だけにまわりも大変そうだった。 年が明けてからしばらくしてまた彼の姿が見えなくなった。(また悪くなったのかな・・・)と心配になり、マネージャーに尋ねると確かに入院しているという。しかしマネージャーの顔が何か笑いをこらえているように見える。不審に思い問い詰めると、最初は渋っていたが事情を教えてくれた。

 何と、

風呂場で確認もせずに熱湯を下半身にかけて、あそこを火傷した
のだという。最初は我慢していたが腫れ上がり痛みもひどいので夜中に病院に行って、そのまま入院・・・。大爆笑した。本人も足の火傷だとごまかせばいいのに見舞いのひとたちに正直に教えたというのだからすごい。

 退院後、Hさんは最初こそ恥ずかしそうだったが、そのうちネタにされる度に
「いや〜でかくなっても使えないのはつらいね〜あっはっは」
と妙にさわやかに笑っていたのだった。