4 異常ではない(2003/7/10)


 長崎の事件は、12歳の少年の犯行。

 刑事責任を問えない少年による幼い子の殺害という結果は、異常で悲惨なこと以外のなにものでもない。しかし社会的背景とか少年が特異な異常者という見方には賛成できない。
 フロイトの言うように、われわれはそもそも「性的倒錯」のなかに生まれてきたのであって、先験的に正常な「性」などは存在しない。そしてこの少年には酒鬼薔薇聖斗のような「病気」を感じられない。性的衝動とその未達成、そしていたずらの露見への恐怖から来る暴力衝動はわれわれにとって理解不能ではないと思う。そのような行為や犯罪は昔からあるし、正常な人間にも起こり得ることだ。
 この少年の場合、前奏となった犯罪が露見しなかったためエスカレートしたのだと思う。もちろん殺人という結果に病的な快楽を見つけ、もっとエスカレートする可能性はあった。ただ、事件そのものは偶発的である。識者たちのいうように「少年教育」を強化しても、「少年期」をもっと特異で抑圧的な空間にして犯罪の更なる低年齢化を促すことにならないのだろうか。

 しかしどう言ってみても、あの可愛い男の子の死はやるせない結果だ・・・

(参照 自由連想2003/7 3「悪夢再び」