4 以前見た夢「子犬たち」 (2003/5/16)


 堤防沿いの住宅地。何年か前にそこで三匹の子犬と出会い、連れ帰って一緒に生活していた。
 或る夕暮れ、たぶん連れ帰って以来になるだろう、なぜか依然として子犬のままの三匹を堤防に散歩に連れていった。子犬たちは突然激しい力でわたしの手の紐を振り解き、走り出した。
 坂を駆け下り住宅地に向かう彼らを、「帰ってきたよ!」「何処に連れてかれていたんだい?」という老若男女の声が迎えた。まるでその町の住人すべてが飼い主のようだった。
 「すっかりやつれてしまって・・・どんな飼われ方をしていたんだい?」怒りをあらわにした老人の声。子犬たちは前と同じ姿なのに。自分でも説明の付かない悲しみと自責のなかで、子供たちにじゃれつく子犬たちを、堤防の上からわたしは見つめていた。