13デイズ(サーティーン・デイズ)

2000年  アメリカ映画     ロジャー・ドナルドソン監督作品



<あらすじ>

冷戦時代の1962年。
ソビエト(当時)が、キューバに、核兵器を搭載できる中距離ミサイルを設置しようとする。
<キューバ危機>の始まり。

ミサイル設置を阻止するべく、外交努力を続けるケネディ大統領だが
軍部は<一気に空爆で、キューバをたたけ!>と、大統領に迫る。
万が一戦争が始まれば、全面核戦争になるのは必至。

大統領ジョン・F・ケネディ、司法長官ロバート・ケネディ、大統領特別顧問ケネス・オドネル
の3人を中心に
ホワイトハウスとクレムリンの
核戦争一歩手前での、息詰まる13日間の交渉を
ホワイトハウスの側から描いた
硬派の歴史映画。




この映画のビデオを、初めて借りてきて観たのは
昨年(2002年)、
アメリカが、<アフガニスタンを空爆する>と言い出した時だった。


そして、2003年2月。
アメリカが、イラクへの空爆を準備している今
もう一度、観た。


イラクへの空爆に関する、ブッシュ大統領の発言だけ聞いていると
「なんと傲慢な!!」という思いしかわかないけれど
(実際、相当、傲慢だけれども)
TVカメラに映らない、ホワイトハウスの中では
この映画と同じような、必至の交渉が続いているはず。
<空爆>というおどし文句も、交渉の一部。
もちろん、当の大統領だって誰だって
戦争はしたくないはず。

この映画を観ると、そう信じたくなる。
いや、信じたい。
どんな小さな希望でも、信じたい。

もちろん、
この映画はホワイトハウス側からの描写なので
アメリカ賛美、そしてケネディ賛美に満ちてはいるけれど。
そして、そこが鼻につく!!
映画でもあるのだけれど。



<キューバ危機>は
ギリギリの所で、なんとか米ソの妥協点が見つかり
戦争は回避された。
イラクとの交渉も
イライラするような歩みでもいいから
なんとか折り合いのつく着地点が見つかりますように。

ビデオを見終わって、心から祈らずにはいられなかった。






というように、大変に真面目な映画であるけれど
当然ながら
私は、真面目なだけで、何度もこれを観なおしているわけじゃ〜〜ありません!!!

この映画、
画面の全体の、90%以上が、おっさん達で占領されているのでは??
というくらい
おっさん好きには、も〜〜〜〜〜〜たまらん!映画。



<↑ 交渉も大詰め。深夜のホワイトハウスで、おっさん二人がコーヒーを入れて飲むの図。)

そう、
こういう場面がてんこ盛りの、おっさん万歳!な映画なのだ。

ええ、ええ、私はこういう、お色気いっさい抜きの
硬派のおっさん映画が大好き♪

<ライトスタッフ>とか♪<アポロ13>とか♪
そうそう、ロバート・レッドフォードが主演した
宝石泥棒のコメディ<ホット・ロック>なんてのも
無駄に美人女優も出てこず
シンプルな男ばっかの映画で良かったなぁ・・・。

言ってみれば
おっさん達がプロに徹して、ひたすら仕事に励む
あのNHKの<プロジェクトX>の世界なのだけれど
あの番組のような
過剰なナレーションは、これらの映画にはないので、ホンマにGOOD♪♪


  さて、その、おっさん達を演じる俳優陣。

  別に<そっくりショー>を
  やっているわけではないので
  「似ている」ことは、必ずしも重要ではないと思う。

  けれども、ケネディ兄弟は
  本物に、とてもよく似ていた。
  顔立ちそのものは、全然違うのだけれど
  ヘアスタイルや立ち姿、仕草など
  さすが俳優さん、よ〜〜〜く研究して
  似た雰囲気を作っていたと思う。
 
  そして、この<似ていること>が
  画面に、緊張感と品の良さを
  与えていたなとも思う。


  
  ← こちらは、大統領J・F・ケネディ。
  演ずるのは、ブルース・グリーンウッド。

  本物のJ・F・Kより細身で
  優しい顔立ち。
  ただし、
  とっても落ち着いた低い声は
  本物の大統領より、はるかに威厳に満ちていて
  GOOD♪GOOD♪
  思いっきりGOOD♪


  こちらはクリソツ!! →

  司法長官ロバート・ケネディ。
  演じるはスティーヴン・カルプ。

  よくよく見ると、全然違う顔なのだけれど
  最初に登場した時は
  「ゲッ!本物!??」
  と思うほどの、クリソツさん。
  (すみません。私の絵は似てません。)

  
  ただ、見た目がえらく若く、大学生みたいなので
  「ちょっと・・・、俳優さん、若作りすぎるのでは・・・?」
  と、一瞬思う。
  が、
  調べてみたら
  1962年の当時
  ロバート・ケネディは若干36歳だった!!!
  若く見えて正解なのだった。

  しかし、36歳で、アメリカの司法長官!
  ・・・ホンマに頭の良い人だったのだな・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さて、大統領特別補佐官ケネス・オドネル。
・・・演じるのは、ケビン・コスナー・・・・・・・だが。



・・・・・・・・・・・・・・・・・コスナーのファンの皆さん、すみません。
この映画の彼に関しては、私は
<腹が出ていた>
という印象しかありません・・・・・・・・・・・。

38歳のオドネル役を、コスナーが演じるのにも、ちょっと無理があったかも。
いや、けど、映画は虚構の世界。
いいんですよ。それでも。

ただ、やっぱ、おなかだけはなんとかシェイプして、出演して欲しかった。
ケネディ兄弟が、かなりホッソリした体型だっただけに
ちょっと目立った、あのおなか。
<老人のはびこる軍部>Vs<若々しいホワイトハウスのメンバー>
という構図が、この物語の売りでもあるのだから
やっぱり、あのおなかはまずかった・・・かも・・・・・・・・。







  ところで
  ケネディ兄弟&オドネルにも増して
  この映画で、強烈な印象を残すのが
  時の国防長官ロバート・マクナマラ。
  ← (演じるは、ディラン・ベイカー。)

  でかい図体。
  オールバックの黒髪に、メタルフレームの眼鏡。

  この時代、眼鏡といえば
  ロック・ミュージシャンのロイ・オービソンが
  かけていたような
  太くて黒いセルフレームのが、ほとんどのはず。
 
  
  (↑ こういうの)

  なのに、何故か、細いメタルフレーム!

  また、このメタルフレームが、
  いかにも<切れ者!>
  という感じを良く演出していて
  良かった。
  カッコイイおっさん♪



というわけで
この映画。

内容は重い。
歴史的には、けしてこれでハッピーエンドなわけじゃないし。
今の時代に照らし合わせても
気分はシビアになるばかり。
(ホワイトハウスを美化する描き方にも、問題はあるでしょう。)






なにせ、画面という画面が ↑ こういう状態。

ダークスーツをビシリ!と着こなしたおっさんの群・群・群。

なので、私にとって<目の幸福度>
やっぱ100点〜〜〜!!!



見終わった後は、やっぱりちょっと幸せでした。



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