沖縄の話(1)

平和祈念公園の花束 その1・その2 / 名前にビックリ!! / ヒンプンの謎 / その他



<平和祈念公園の花束 その1> 2001年 12月20日(木)

沖縄の平和祈念公園で、はたして今年のお参り用の花束は
いったいいくらになっているだろうか?
と、考えながら荷造りをしていた。
明日から、ちょっことだけ沖縄本島へ旅行する予定なのである。

<平和祈念公園>というのは、沖縄本島のほぼ南の端にある。
6月23日の沖縄戦の終戦記念日には、そこで毎年平和を祈る式典が行われている。
先年の九州沖縄サミットの際には、当時のクリントン大統領が
暑い中、スーツ姿で演説をし、ダラダラダラダラ大汗を流していたTV映像が放送されたが、
あの時大汗をかいて演説していた場所が、平和祈念公園。
  (ったく、土地にあった服装をすればいいのに!と、あの時は強く思ったなぁ。)
その公園には、太平洋戦争の沖縄戦で亡くなられた方、23万人余の名前を刻んだ石の壁、
<平和の礎(いしじ)>が建てられている。
本島へ行く時、私と夫はそこへ行く。
夫の母方の祖父の弟
という人の名前がそこに刻まれているから。
実家の墓で見たその人の名前の下には、享年が書かれてあったが、
じーちゃんの弟の享年わずか22歳。
思わず涙が出そうになった。
(じーちゃんも戦争で亡くなっているんだけども。)

さて、その<平和の礎>。
国籍さえ関係なく、沖縄戦で亡くなられた方、全ての名前が刻まれているので
常にお参りする人が絶えない。
遺骨も遺品もなく亡くなられた方が多いから、
ぜひこの沖縄で拝んであげたいという遺族が多いのだ。
しかしここは、よそのお参りとは違って、お供え物は禁止。
暑い土地だからお供え物なんか一発で腐ってしまうし、
県外から大量にお供え物を持ち込まれても、
沖縄本島でゴミの処理がしきれないので、きっとそう決まっているのだと思う。
で、代わりにどうお参りするかと言うと
祈念公園の一角では、地元のおばあ達がお参り用の花束と線香を売っている。
多分、県から委託されているのだろう。
で、これを買って皆お参りというか、沖縄式に言えば<拝みに>行くのである。

冒頭の<いくら?>というのはこの花束の値段のことだ。

この花束。3年前に行った時はひとつ200円だった。
2年前に行った時は、ひとつ300円になっていた。(あら。)
昨年、
行ったらひとつが400円であった。(・・・・・・・・・・・・・・・・。)
さあ!では今年はいくら?????????

もちろん、花束自体は年々グレードアップしているので<ぼられた>気は全然しない。
が、こう行くたびに値上げ(しかもきっちり100円ずつ)してあると
ついつい今年はどうじゃ!?と期待してしまうのである。
うちの近所の花屋でも、仏花は大体どこでも一束500円だし
今年祈念公園のが500円になっていても、妥当なところだとは思うけれど。
さてさて、結果はいかに???


というわけで、掲示板のレスは24日の夜になる予定です。

そう言えば明日は冬至。
一陽来復で、春に向かって始まる日。
まだまだ寒さの本番はこれからだけれど、少しずつ少しずつ日が長くなっていくのはとても嬉しい。
ゆっくりユズ湯に入って、カボチャを食べて、
どうぞ皆様、良い週末を。


<平和祈念公園の花束 その2> 2001年 12月21日(金)

那覇の天気は、曇り時々小雨。気象台の予想最高気温は17度。
だが、大変風がきついので、体感気温は13度くらいかな?
空港でレンタカーを借りて、平和祈念公園へ。

さて、問題のお参り用の花束である。
公園の駐車場から平和の礎(いしじ)へと向かう私と夫との前に、
スフィンクスのように、
あるいは関所の役人のように、今回も花売りのおばあ達が立ちはだかった。
「お花どうですか?」と言う、その手にはすでに何束かの花束と線香がしっかりと。
もちろん買って拝みに行くつもりなので、腹に力を込めて<今年の値段>を、私は聞いた。
「600円ね。」
と、おばあその1。
・・・・・・・・・・・・・・・・・え?600円?!??!??

これには意表をつかれた。予想だにしていなかった展開である。いきなり200円も値上がるとは?!
・・・が、おばあ達の手前、いちおう平静を装った私。
やがてお金を払おうとして、おばあの言う値段が、花束2つ分のことだとわかる。
夫と私の二人分を差し出して、「600円」だとおばあは言ったのだ。
では1つだと300円?は?昨年より値下がっているではないの!
まさか20日の私の日記を沖縄の誰かが読んで、今日の花束代を値下げした・・・わけはないから
ついに花束もデフレになった・・・ということだろう。
それにしてもおばあったらもう〜〜、
こっちの意見も聞かず、歩いてくる人数分、ササッと花束を差し出してきて売るあたり
商売上手で憎い憎い!なんだけれど、
でもね、私は1つの値段にかかわらず、毎年1000円分花を買うことにしてるのよ。
う〜〜〜ん。なのに「600円」とそっちでさっさと決めちゃうから
今年はつられて600円分しか買わなかったではないの。あ〜あ。もったいない(おばあが)。

それはともかく、小雨の中、今年も無事、礎(いしじ)を拝んで帰る。
帰り道、糸満市のでっかいスーパーマーケットで食料品の買い出し。
旅先で地元のスーパーに入るのは本当に楽しい♪♪ご当地食品って本当に面白い♪
沖縄では、沖縄の食材ももちろん面白いけれど、
アメリカの食材が今も強く指示されているのがとても興味深い。
例えば、私の家の近所ではまず見かけることのない<キャンベルのスープ缶>。
アンディ・ウォーホールの版画でおなじみのあれが、ここのスーパーにはズラリと並ぶ。
折しもクリスマスシーズン。
パーティ用の大売り出しらしく、キャンベルスープ、一缶55円の大特価だった!
または、マヨネーズ。
キュー◎ーのチューブ入りももちろん棚にはあるけれど、人気は瓶入りのアメリカ製の物。
しかもその瓶がまたバケツみたいにでっかいのには圧倒された。
ああ、沖縄にはマヨラー多し??

夕方、バスで本島北部の山原(ヤンバル)地方にあるホテルへと向かう。

昼:沖縄のハンバーガーチェーン、A&W(エンダー)にて
   ハムとチーズのホットサンドイッチ300円、クラムチャウダー230円
夜:沖縄そば(そばと言っても、麺は小麦粉と水で作るから、ようするにうどん。)600円


<名前にビックリ!!> 2001年 12月22日(土)

ヤンバル地方は、本日晴れのち小雨のち晴れのち小雨、のち晴れのち小雨・・・・・・(以下エンドレス)。

ヤンバルの森の中に建つホテルで一日チンタラカンタラ過ごす。
ここは小さな湾に面して建っているので、部屋の南のテラスからは東シナ海がとってもよく見える。
そして、湾の対岸、海を挟んでおよそ一キロメートルほどのところに建つ
アメリカ軍の施設、キャンプ・シュワブもよーーく見える。
対岸のヤンバルの森の中の広大な敷地に
軍用施設が点在しているのが、バードウォッチング用に持ってきた双眼鏡でしっかり見えた。
キャンプ・シュワブが近いのはわかっていたけれど、ここまで目と鼻の先だとは思わなかったな・・・。
そして、このキャンプ・シュワブのすぐそばに、将来はアメリカ軍のヘリポートが新たに建設されるのだ。
普天間基地の縮小にともなって、こちらが代用基地にと決められた。
昨日ホテルへ来る途中の道々に、ヘリポート反対のプラカードがいくつもいくつも立っていた。


話を変えて。

昼食後、暖かいテラスで地元の新聞を読む。
「沖縄タイムス」と「琉球新報」。
この2紙に、<謹んでお悔やみ申し上げます>という、
地元の方の告別式の広告欄があって、これがなかなか興味深かった。
享年が、90歳、99歳、101歳・・・などと猛烈に高いのも沖縄らしかったけれど
亡くなられた方の名前がまたインパクトを与えてくれるのだ。
◎◎カメさん、とか◎◎ウシさんとかは内地でもままあるが、
今回「おおお!!!」とうなってしまったのは
◎◎カマドメガさんという、おばあのお名前。

沖縄で80歳以上のおばあに、
<カマドさん>というお名前の方が、少なからずいらっしゃることは知っていた。
カマドはあの台所のカマドだろう。
身近な物の名前を子供に付けるのは、昔ならよくあること。
が、カマドメガさんは初めて知った。
一体この<メガ>って何??????
と、聞きたい。いや、ひょっとしたらカマドメガという、またカマドとは別の固有名詞なのか??
・・・なんにせよ、これは香川へ戻ってから絶対ネットで調べようと!心に刻んだ。
朝:洋食のバイキング
  サラダ(サニーレタス、海藻、トマト、キャベツ、人参)
  スクランブルドエッグ、ラタトゥイユ(ナス、トマト、たまねぎ)、トマトジュース、コーヒー
昼:沖縄料理の定食
   島豆腐、お吸い物(冬瓜、ゴボウ、ソーキ→豚の骨付き肉)
   鯛の刺身、もずくの雑炊、オレンジ
夜:スーパーで買ってきた食べ物を部屋でボソボソと食べる。
  イワシの缶詰、沖縄そばのカップ麺、プチトマト、りんご、チーズ、ワイン、泡盛


2001年 12月23日(日)


未明の3時半頃、ふと目覚めると、外で飛行機の通り過ぎる大きな音がしていた。
4時頃、もう一回、飛行音。
40キロメートルくらい南にある嘉手納基地での、夜間の飛行訓練か??
うるさいなぁ・・・・・・・・・。
と、思っていたけれど、今にして思えば例の東シナ海での<不審船>。
あれの捜査に出かける自衛隊機か、米海兵隊機の飛び去る音だったのかもしれない。


ヤンバル地方、本日快晴。所によりにわか雨。

車を借りてヤンバルの森へ出かける。
鳥がヒュンヒュン飛び回り、大きな声で鳴いている。
なんの鳥かと喜び勇んで双眼鏡を取り出したが、
双眼鏡をのぞくまでもなく、そこにいたのはツバメだった・・・。
我が家の周りをピーチクパーチク騒々しく飛び回っていたツバメも
今頃はこの辺で越冬しているのかもしれない。
  みんな、幸福の王子にとっつかまらなくて良かったね。

朝:中華の朝定食
  卵焼き、エビのシュウマイ、ウニのシュウマイ、
  サラダ(トマト、キャベツ、キュウリ・・・・・なんかこのサラダ、貧乏くさいぞ。
  タピオカのデザート、コーヒー
昼:沖縄そば400円
   
   この<沖縄そば>というのは、香川県人にとっての<うどん>のようなものらしい。
   どこそこの店が美味い!などと地元の情報誌にもよく書いてある。
   小汚い店の方が美味いとか、わざわざ車で遠くまで食べに行くとか
   完全にさぬきうどんと同じ熱烈さで県民に愛されている様子の、庶民派の食べ物の代表格。
   ただ本日食べた沖縄そばは、400円とかなり安いほうだけれどあんまし美味しくなかった・・・。
   (別に美味い店を目指して食べに行ったわけではなく、通りすがりの店なんだけれど・・・。
    やっぱりちとくやしい。)
   それに、私の金銭感覚が完全に狂っているのは承知の上で、
   
・・・やっぱし400円は高いと思った・・・。

夜:スーパーの食料をボソボソと・・・。
  ブルボンの天然酵母のクラッカー、鯖の味噌煮缶、りんご、チーズ、落花生、ワイン、泡盛


<ヒンプンの謎> 2001年 12月24日(月)


ヤンバル地方、快晴。那覇も快晴。

ヤンバル地方へ初めて来てみて、どうも沖縄の他の地域と、家の造りが違うのに気がついた。
古い沖縄式の家。
NHKの朝ドラの「ちゅらさん」でも全国におなじみになったあの形の家だけれど、
それは、珊瑚などの垣根で囲まれた敷地に入ると、まず<ヒンプン>と呼ばれるついたて・・・と言うか
壁と言うか・・・、そういう<行く手をさえぎる物>に、まず出会うようになっている。
が、ヤンバルの家にはどうもそれが見あたらない。
<ヒンプン>とは魔除けだそうである。
沖縄の魔物は一途というか、猪突猛進型なのでまっすぐにしか進めない。
だから家に入ってこようとする魔物を、この<ヒンプン>でドッカーーン!!とさえぎろうというわけ。
ヤンバルの家に何故これが見あたらないのか??
本島南部でも、八重山諸島の島々でも立ってたヒンプンが何故に??

ヤンバルは本島の中でも独自の文化を持っていると聞く。
ヒンプンの違いもその独自性の現れだろうか?
では、ヒンプンのある家とない家の境界は、一体島のどの辺にあるのか???
と、本日、バスで再び那覇へ戻る際、車窓からそれを確かめようとしたのだけれど、
いかんせん、高速道路のすぐそばに、沖縄式の古い住宅の密集地なんてあるはずがないのだった。
あああ、まことに残念。
これもカマドメガさんのメガと同じく、家に帰ってからの宿題としよう。

かくして、無事夕方高松へ。
今回も新たな発見が数々あって、やっぱり興味はつきない沖縄。
また行く日まで、そのお金が貯まるまで、
明日からまた我が家は<外食と言えばセルフのうどん>な日々が始まるのであった。

朝:洋食のバイキング
  サラダ(サニーレタス、海藻、トマト、キャベツ、人参、赤・オレンジのピーマン)
  プレーンオムレツ、ラタトゥイユ(ナス、トマト、たまねぎ)
  トマトジュース、ヨーグルト(パイナップル、オレンジ入り)、コーヒー
昼:八重山そば(沖縄そばの八重山諸島バージョン)


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