●第一章「繁栄の木と呪われた大地」
「繁栄の木の様子がおかしいんだよ」
はじまりはほんの些細な事からだった。古い文献を紐解いたとある兵士の一言。少年達は繁栄の木の声に耳を傾けるために彼女の元を訪ねる。
「心がざわつくのじゃ」
と不思議な感覚を訴える繁栄の木が望むままに、少年達は命の葉を彼女に与えてしまう。しかし、良かれと思って渡したそれは封じられていた彼女の記憶を呼び覚ましてしまう。
蘇った記憶は同時に恐ろしい力・・・モンスターを凶暴化させる力をも復活させてしまった。繁栄の木は、古代人が残したモンスターを操るための生命体であったのだ。
自分が過去にモンスターを凶暴化させ、多くの命を殺め、最後には自らを作り出した王国を滅亡させたことを思い出し、その記憶に苛まれる繁栄の木。
力は未だ衰えず彼女の身の内に在った。秘められた「紅い星」の力は彼女の恐怖を伝染させ、モンスターを際限なく凶暴化させてしまうだろう。
それは少年達の住む世界の危機を意味する。
事態を重く見たマジリタのアネスは、少年達に繁栄の木の記憶を消す為の道を指し示す。彼女もまた、古の記憶をのぞき見るものであったのだ。導かれるまま、世界各地を廻り始める少年達。
金の櫛と伝説の鳥の像を携え、混沌より失せものを蘇らせる古代の技術の一端を垣間見、穢れなき涙を集めた彼らは過去と現在を行き来しながら徐々に核心への近づいていく。
ついに繁栄の木の記憶を消す力を秘めた「精霊の木の枝」を手に入れた少年達は、恐怖に震える繁栄の木に再び安らぎをもたらすことに成功した。
だが、これで終わりではない。
一度力を増したモンスターたちは大人しくなることはない。モンスターの力を弱らせなければ危機は去らないのだ。繁栄の木が導いた先、「呪いの地」へと少年達は向かう。かつて「呪いの地」を封じた3英雄、ティマ・ロカ・ジョカの遺した3つの神器を揃えたとき、「呪いの地」への道は開かれた。
・・・その先
そこは、封じられた地。繁栄の木を作り出した古代人の王国、レギアの成れの果ての姿だった。亡霊の囁きと朽ちた石碑に刻まれた碑文を読み解きながら少年達は、最後の玉座を目指す。
●第ニ章「ぼくとぼくらの忘れられた都」
古き「呪われた地」を封じた少年たち。モンスターたちの暴走も止まり、平和な日々が戻ってきたかのように見えた。
しかし、その手に残った宝石「紅い星」は忘れられた世界の記憶を呼び起こす。そう、静かにことは動き始めていたのだ。いち早くそれに気付いたマジリタの神官アネスは少年達に道を指し示した。
紅い星に導かれるように、日常の中に現れた非日常。そこに居なかったはずなのに居る。そこに居たはずなのに居ない。浮かんでは消えるうたかたの中に、ひとりの少年が現れる。
彼のなはアルシェ=アリス=エファシス。エファシス国の王子であると名乗った彼は、少年達が持つ「紅い星」に酷似した宝石「王者の瞳」を手にしていた・・・。
●第三章「氷の魔王と偽りの姫君」
平和な日々を引き裂くようにその事件は起こった。
マジリタ北に異国の服をまとった兵士が流れ着いたのだ。辛うじて一命は取り留めたものの、何かの呪いによって声を失った彼は、必死で何かを訴えようとした。
彼がまとうのは雪の国の服。彼が描くのは雪の国の文字。この兵士は一体何者なのか?
疑問が募る中、とあるきっかけにより、声を取り戻した彼は真摯な眼でこう訴えたのだ。
「お願いです。姫様を、王国を魔王の手から救う為に力を貸してください!」
魔王とは何者なのか?姫は何処にいるのか?こうして雪の国と魔王を巡る物語は幕を開ける・・・。
●第四章「忍びの心得」
忍(しのび)・・・それは人の世の影にひそむ者
忍(しのび)・・・それはひそやかに悪を狩る者
人知れず戦い、信念の元、その力を振るい続けるのだ。それこそが忍びの心得。
だが、彼らにも悩みがあった。五色の力が揃ってこそ、忍者の本来あるべき姿だが忍びたがらない若者達の増加により人員不足に陥っていたのである!
これは由々しき事態だ。「才能ある者を育てなければ!」忍びの心得を胸に、忍者たちの戦いが始まる。
●第五章「灼熱の魔剣」
・・・ルデース村に伝わる古き伝説。その蒼き龍は、多くの魔物を従えていたと言う。その蒼き龍の翼を持つ者は、自身が従える全ての魔物に力を与えたと言う。その蒼き龍が従えし魔物がルデース村を今にも葬らんとしたとき、紅く、炎を朶んだ一握りの剣が蒼き龍を退けたとされている。
この町では、13年に1度、蒼き龍が二度と蘇らぬようにと、奉剣祭を行っている。今は丁度その祭りの時期のようだ。
町の人々が祭りの準備に追われている時、君は1人のエルフの鍛冶屋と出会う事となる。
蒼い龍、紅い剣、エルフの青年。大いなる運命が君を巻き込み、大事件へと発展してゆく。
●第六章「リーンカドールの謎」
それは、とある発掘現場で発見された人形だった。長年土に埋もれていたにもかかわらず、見事な造形が保たれていた。瞳に嵌めこまれた宝石の色は、赤。
「こりゃあすごい!世紀の大発見だぞ」
遺跡発掘チームは色めき立った。その人形は遺跡の名前をとって「リーンカドール」と名付けられ、発掘を指揮していた青年はそれを誇らしげに持ち帰り、そのまま忽然と姿を消した。
行方知れずのその人形と、青年を追うものたち。リーンカドールを巡る物語が幕を開ける。