宇宙の始まり・・・ 生命が全く存在しないこの大陸では、様々な元素が混沌と荒れ狂っていた。
大地の女神は、荒れ狂う元素を慰め、落ち着かせ、混沌とした大陸に光明と秩序をもたらした。そして、自らの生命力を凝結させた生命魔晶を大陸にまき万物が誕生することとなった。全ての生物は大地の女神の恩恵を称え、 この大陸をラカトニア(生命の起源という意味)と名付けた。
ある時、大地の女神により生命魔晶が強く光り、三つの生命がこの世に産みおとされた。一つは精霊、優しい心を持った精霊は弓の名手として森に好んで住み、生命魔晶を守護するため大地の女神を崇拝した。一つは霊妖、優れた知識を持つ霊妖は魔法を得意とし、元素や魔法の研究に没頭するため空中庭園を造り外に出ることはなかった。一つは人間、卓越した道具を与えられた人間は、新たなる兵器を次々と造りだし、他の種族を押しのけ巨大化し続けた。その結果、人間は大陸で一番大きな存在となった。人間は兵器の力で繁栄を繰り返し発達していったが、肥大になりすぎた人間はその欲望を抑えられず自分たちに向けるように、各地で人間同士の争いが起きはじめ、それをきっかけに大きな戦争へと発展していったのだった。
戦争は多くの死者を出し、混沌となった大陸に異変が起き始めた。亡くなった死者の魂が変異し邪悪な霊魂を生み出したのだ。
邪悪な霊魂はあらゆる負の感情の固まりとなり、死の息吹を纏った亡霊となって大陸全体にその身を覆った。死の息吹により大陸は狂気が満ち溢れ、狂気に侵された者たちは各地で殺戮の限りを尽くした。疲弊しきっていた人間たちに、この霊魂に勝つ術なかった。
絶望的となった人間たちは、精霊に助けを求めるほかなかった。精霊は古より生命魔晶を守護することに務め、この争いには一切関与しなかったのだが、精霊が手を差しのばさなければ、ラカトニア大陸が滅亡することを意味していた。
精霊と生き残った人間たちは亡霊に立ち向かうため生命魔晶が安置されている精霊の森に集結した、だが邪悪なる意志の前に精霊と人間は太刀打ちできず、次々に倒れていった。亡霊はあまりにも強大すぎた。
絶望かに思われたその時、精霊の森に希望の光がさした。霊妖の登場である。霊妖の魔力と精霊の祈りにより亡霊の纏った死の息吹が吹き飛ばされた。死の息吹が無くなったことで、人間たちは正気を取り戻した。
これに怒った亡霊は邪悪な軍団を体内から新たに生み出し、その矛先を精霊の森へと向けて前進した。精霊と霊妖、人間らは対抗することも出来ず軍団に蹴散らされた。瀕死の危機に陥ったその時、生命魔晶から強力なエネルギーが当たり一面を包んだ。
エネルギーの力により息を吹き返した精霊と霊妖は、最後の力を振り絞り生命魔晶の力を解放した。生命魔晶から溢れた力が光となって一瞬で大陸全土を照らし尽くした。光を浴びた亡霊とその軍団の身は塵となって大地に崩れおちた。この力の解放により生命魔晶は大きい音と共に5つの破片となった。5つのうち4つは、ラカトニア大陸に光となって散っていった。最後の1つは、生命魔晶が元々あった祭壇に取り残された。
亡霊は滅びてもなお復活を信じ、塵となって大陸に息をひそめた。
それから数百年の時は過ぎ・・・かつての英雄は大地の女神に再び命を吹き込まれこの大陸へといざなわれた。土の匂い、木々の音、全ての記憶が蘇らないまま、自身を探す旅へと。ラカトニアの大地を今歩みだす・・・