主よ、人の望みの喜びを

 

    第六話 姉妹        




    
しばらく画面を眺めていたミサトは、思いっきり怪しい表情でリツコに 「これはちょっち検討を要する問題ね」と言った。

そして、リツコの机に飲みかけのカップを置くと、すぐ「また来るわね。」と部屋から出ていった。

リツコは『また何か考えているわね』と思ったが関わるとろくなことがないことを知っていたので、

気に留めずに他のメールを開きはじめた。

 

ミサトは、その足でアスカの部屋に行ったが、そのドアには不在表示が示されていた。

『お茶でも飲みに行っているのかしら』

ミサトは索敵活動を再開した。

 

ミサトはリフレッシュルームに行き、目標を捕捉する。

アスカはプリントアウトしたデーター表を眺めながらフレッシュジュースを飲んでいた。

「アスカ、ここにいたの」

「ミサト、またサボり? 日向さんに仕事を押しつけているとそのうちクビになるわよ」

「誰がサボりよ。そーゆー事を言う悪い娘にはいいことは教えないんだから」

「別にミサトから教えてもらうようなことはないから困らないわよ♪」

「シンちゃんのことだけどなぁ〜。アスカは知りたくないのねぇ。ふ〜ん」

「そ、それを早く言いなさいよ。聞いてあげるから」

「『聞いてあげるから』? あなたまだ日本語が苦手みたいね。
それとも素直という言葉を知らないのかしら。
大人になって、少しレディになったなと思っていたけど…」

「くっ…」


思わずデーターを握りしめ、くしゃくしゃにしてしまうアスカ。

『いつまでたってもアスカはからかい甲斐があるわね。』と思いつつアスカの反応を楽しむミサト。


「わかったわよ、私が悪かったわ。だからすぐ話しなさい」

「ふふっ、シンちゃんね、今度、カンファランスの出席のために帰ってくるらしいわよ」

「うそ。昨日シンジと電話で話したけれど、何も言わなかったわよ」

「急きょ決定したらしいわ。
ちょっと前に向こうの教授からリツコにメールで連絡がはいったの」

何も言わず席から立ち上がったアスカをミサトは押し止める。

「アスカちょっと待って」

「ミサト、アタシ忙しいんだから。シンジに電話しなきゃ」

「だいじょうぶよ。シンちゃんがちゃんと連絡してくるわ。
 それに時差があるから今はだめよ。それより、少し話があるの。
 アスカの引っ越しはもうすぐだったわよね。そのことなのだけど」


座り直したアスカはミサトの話を聞きはじめた。


そして、聞き終えたアスカは「ちゃ〜んす」な笑みを浮かべ、「ミサト、ありがとう。お願いするわ」と答えた。

「お姉さんにまかせなさい」

二人は仲の良い姉妹のように一緒に笑った。



つづく

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