環境ホルモンについて

 

目次
◆はじめに ◆イギリスにおける魚類の性異
◆化学物質と環境 ◆<世界各地よりの生物異常の報告>
◆どのようにしてオス・メスになるのか ◆ヒトにも見られる性異常
◆胎盤による防御の崩壊 ◆スウェーデンの研究者が発表したデータ。
◆ダイオキシン ◆ヒトにおける精子激減について高度経済成長と公害問題
◆食品・脂肪におけるダイオキシンの濃度 ◆他の生物の生殖機能衰退と他の症状
◆次々に発見される内分泌攪乱物質 ◆環境ホルモンの疑いがある物質
◆化学物質の生物の生物濃縮 オンタリオ湖のPCB
◆イギリスにおける魚類の性異常
◆私たちはどのようにすればよいのであろうか?

 

はじめに
1962年米国人、レイチェルカーソンにより「沈黙の春」(SILENT SPRING)が刊行され、殺虫剤や合成化学物質と野生動物における異常現象との関係が議論されるようになる。農薬により農業生産が向上し、夢のような未来が約束されていたかのように思えた人類に、警鐘を鳴らすものであった。多くの農薬はこのために見直され、使用禁止、製造禁止にまでなったものもあり、この著作の影響は計り知れない。しかし、この内容は、現在すべてが事実となっている。
1996年米国でシーア・コルボーン、ダイアン・ダマノスキ、ジョン・ピーター・マイヤーズによって「Our Stolen Future」が出版される。その衝撃的な内容とゴア副大統領が序文を寄せたこともあり、世界的な話題となる。日本では、「奪われし未来」という邦題で翌年に刊行され、環境ホルモン問題の引き金となる。
1998年英国人ジャーナリスト、デボラ・キャドバリー著、「メス化する自然」の邦訳が出、環境ホルモンはこの年のキーワードとなる。
それ以降、ゴミ焼却場問題と相まって多くの著書が刊行され、行政の動きも活発化する。
環境ホルモン、内分泌攪乱科学物質は、全人類的な問題である。人の生殖に関わる問題である。今までの環境問題とは、次元が違い、現在進行形である。今、私たちの身近な所で起こっているかもしれない問題である。そして、次世代を作る人間には、避けて通ることのできない問題ともいえる。さらには、好むとも好まざるとをとわず他人に影響を与える問題も含んでいる。だからこそ、私たちはこの問題に対して今真剣に考えるべきである。
自分たちの生き方に関わると言っても過言ではないから。
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化学物質と環境
クロロフルオロカーボン(CFC)
1928年トーマス・ミリッジ・ジュニアにより合成される。不可燃性化学物質として脚光を浴びたが、1974年にシャーウッド・ローランドとマリオ・モリーナがCFCのオゾン層破壊のプロセスを論じる論文が出、デュポン社は、製造と供給を中止する。この研究により二人の化学者は、1995年にノーベル平和賞を受ける。
PCB(ポリ塩化ビフェニ-ル)
1881年に発見され、1929年登場してくる。優れた安定性を示すことから、工業用熱媒体として有用であった。変圧器の油、潤滑油、燃えない木材、ゴム、プラスチック、カーボンレスのコピー紙として市場に出回ったが、PCBによる環境汚染がスエーデンの学者によって報告され、1968年カネミ油症事件が起き、1972年製造も使用も禁止された。
DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)
国際名1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス−(p-クロロフェニル)エタン

DDTは、1874年に最初に合成されたが、殺虫力が発見されたのは1939年である。生みの親ともいえるパウル・ミュラーは1948年にノーベル賞を受けた。
それ以前の砒素(ひそ)による農薬は、農業従事者の命をも奪う薬品であったが、このDDTは昆虫にのみ効き高等生物が、皮膚からこの薬品を吸収することはあり得ないとされてきた。農作物をおそう昆虫やマラリアの原因となる蚊を駆除できると歓迎された。
食物連鎖の生体濃縮のために鳥などに繁殖能力の低下などの影響が明らかになり、先進国では使用禁止されている。
日本では昭和46年に禁止となる。
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どのようにしてオス・メスになるのか
女性の細胞には、X染色体が二つあるのに、男性の場合は、X染色体とY染色体が必ず一つずつ存在する。この事実をネッテー・マリー・スティーブンとエドモンド・ビーチャー・ウイルソンという二人の科学者が別個に発見したのは、1906年のことである。性分化を決定するのはX染色体上の遺伝子である。がしかし、これは、オスなりメスなりになる可能性ができただけで受精の時点で決定するわけではない。
鳥やヒトの場合は、一方の性を基本に、もう一方の性が作られる仕組みになっている。ホルモンによって一連の変化が誘発されることで、もう一方の性への分化が始まるのである。
鳥類ではオスが基本の性である。哺乳類では、基本の性はメスである。
オスになるには
精子は卵子と結合すると、遺伝子レベルでの引き金を引いて受精卵を男性化する。が、受精6週間この時点では、胎児は雌雄いずれにも文化する可能性を秘めている。この時期の胎児には、精巣にも卵巣にもなり得るような生殖腺がある。男性性器と輸卵管ないし子宮の雛形も現れている。
ボォルフ管とミュラー管である。この組織がペニスになるかクリトリスになるかは、胎児の発育にどのようなホルモンが関与したかによる。受精後7週間目、染色体上の遺伝子が、卵巣にも精巣にもなりうる生殖腺を、精巣へと分化させるのである。胎児はしかるべき時期にしかるべきホルモン刺激を精巣から受け入れられないと、精巣と密接に連動している男性特有の身体と脳を発達させることができない。精巣で精子が作られてもそれを放出するペニスが発育しなくなるおそれが出てくる。
メスになるには
生殖腺が精巣へと変化するのは、3、4ヶ月後くらいである。この時期、男性生殖器の原型であるヴォルフ管が、特に何のホルモン刺激も受けなくとも自ずと萎縮し、消え去ってしまう。身体の発育に関して言えば、メスはオスに比べてホルモンの影響を受けにくい。

生殖器の雛形を作るプロセスは、男性の方がはるかに込みいっていており、重要な諸所の段階によって特徴づけられる。各段階ではホルモンが時宣にかなった決定をそのつど下している。精巣は形づくられるなり、特殊なホルモンを産出する。その結果、女性生殖器の雛形であるミュラー管は萎縮していく。ミュラー管が完全に消失するには、ホルモンメッセージが絶妙なタイミングで伝えられる必要がある。ミュラー管が「消えろ」という信号に反応する期間は、ごく限られているからだ。続いて精巣からは、ヴォルフ管は、受精後14週目までに自然消滅してしまうからである。このメッセージは、男性ホルモン、テストステロンである。ヴォルフ管はテストステロンに刺激されて、精巣上体、精管、精嚢といった精巣からペニスに至る精子伝達系を形成する。

ホルモンは、胎児の性発達を促すと同時に、胎児の神経や免疫系の成長にも関係している。生体機能が正常に機能するためには、適量のホルモンが、適切な時期に、適切な部位へと送り届けられなければならない。そしてホルモンは、分子レベルで働くので極微量で作用する。
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胎盤による防御の崩壊
胎盤は子宮と胎児を臍の緒でつないでいる複雑な組織であり、この組織が、外部の有害な影響から胎児を完璧に守る役目を果たしているという神話が崩れた。
1962年サリドマイド事件
妊婦に対して精神安定剤ないし、つわりを抑える薬として処方されていたサリドマイドにより、腕の部分が無く、手が直接肩に生える胎児や両足がなかったり、両手両足がないという奇形(アザラシ型胎児)がもたされた。子宮内でサリドマイドに暴露した全ての胎児がこのような障害を持っていたわけではない。サリドマイドの服用が胎児の成長にとってきわめて重要な妊娠5週から8週目にあたった場合に致命的な障害が起こっていたのである。46カ国8000人にも被害は及んだ。
DESの悲劇
1938年英国の科学者で内科医だったエドワード・チャーチルズ・ドットとその同僚は体内で天然エストロゲンのように作用する科学物質の合成に成功したと発表した。DES(ジエチルスチルベストロール)は流産の予防薬として処方されただけでなく、生理機能を改善するビタミンのように考えられていた。妊婦以外にも出産後の母乳量の抑制、更年期障害の軽減、10代の女の子の発育をおさえて背丈を伸ばさないようにするにも使われた。多量の飼料に混ざられてニワトリや牛を急に太らせるにも使われた。これらの服用で被害を受けたには、胎児であったが、生まれてすぐに先天的な障害が見られるということではなかった。この薬品の影響は、思春期になって現れたのである。生殖器の異常、生殖器のガン、性行動の変化(同性愛指向)、その他精神的異常(拒食症)などである。
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ダイオキシン
ダイオキシン2.3.7.8−TCDD(テトラクロロジベンゾダイオキシン)「地球上で最も有害な化学物質」は意図的に作られたものではない。殺虫剤や木材用防腐剤に使われる塩素含有化学物質の製造、塩素による紙の漂白、プラスチックや紙の焼却、化石燃料の燃焼などから発生する。他の物質と同じように体脂肪への残留性が高い。大気、水、土壌、堆積物、食物から広く検出される。ダイオキシン類は74種、フラン類は135種からなる化合物群である。1961年から1971年にかけて米軍は、1900万ガロンを上回る合成除草剤を北ヴェトナムに散布した。
これら2,4-D及び2,4,5、‐Tはダイオキシンに汚染されやすい物質であった。
その後の問題については、枚拳にいとまない。ヴェトちゃんドクちゃんを思い出してもらいたい。もちろん先天性障害ばかりではなくその後の問題もホルモンのような働きをしていると考えられている。
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食品・脂肪におけるダイオキシンの濃度
日本  30〜40PPT
米国  30〜45PPT
カナダ 35〜40PPT
スエーデン 30〜35PPT
*年齢が高いほどダイオキシン量は多い。
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次々に発見される内分泌攪乱物質
乳ガン細胞の増殖を研究していたボストンのタフツ大学医学部アナ・ソトーとカルロス・ソンネシェイは、与えてもいないエストロゲンにがん細胞が汚染しているという事態に見舞われた、丹念に調査した結果、実験に使っていた試験管からの汚染であった。コーニング社製のプラスチック試験管が原因であった。プラスチックの製造方法を変えた製品だったのである。
しかし、企業秘密によりその物質を会社は、教えなかった。二人は分析を初めその物質がp−ノニフェノールであることを突き止めた。ポリスチレン製の試験管から漏れた物であった。この物質は、食品包装用のPVC、水道管からも出、クリーム状の避妊薬に含まれる物質が体内で変化した場合にも生成することがわかった。工業用洗剤、殺虫剤、薬用化粧品などにも含まれている物質が、分解過程でノニフェノールを生成することもわかった。消費者が購入する合成洗剤などの製品それ自体にはエストロゲン様の効果があるわけではないが、そこに含まれるアルキルフェノール・ポリオキシトキシレートが動物の体内や環境、下水処理用植物に棲みついているバクテリアによって分解されると、ノニフェノールができるのがいる。洗剤でいえば、非イオン系の洗剤として知られ、水道の基準にも引っかからない。洗濯用の他、台所用、掃除用、シャンプー、メガネ、コンタクト洗浄剤もこれであり、フィルム状の避妊薬マイルラーもこれである。
カリフォルニア州パロアルトのスタンフォード大学では別のものが見つかった。
ビスフェノール−Aである。ポリカ−ボネート製品から漏れ出したのである。が、製造元では発見されなかった。それは、化学分析機能力の違いである。メーカーは10ppb(10億分の1)までしか検出できなかったが、汚染は2〜5ppdで十分であった。プラスチック製の容器を電子レンジで加熱することで溶出することがわかっている。
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化学物質の生物の生物濃縮 オンタリオ湖のPCB
ものの濃度は、いまでも%が生活の中で主流を占めている。危険なものでも、水で薄めたりすれば、川に流れ、海に達し、薄まる。大気に放出すれば、それも薄まり、危険はないと考えられていた。だから、せいぜい百万分に一、ppmまでかんがえればよかったのである。ところが、生物を食べる食物連鎖から考えると、なんとppb(十億分の一)やppt(一兆分の一)も問題になってくるのである。
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イギリスにおける魚類の性異常
雌雄両性の特徴を兼ね備えている魚が増えたのである。〈日本でも多摩川あたりで発見されている〉原因はアルキルフェノールであろう。
また、各国の缶詰の内側のプラスチックコーティングからもビスフェノール−Aが検出されている。
日本おいては、沿岸のイボニシという巻貝の性異常が見つかっている。
原因は船の底に塗る塗料に含まれるトリメチルスズであった。
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<世界各地よりの生物異常の報告>
世界各地より生殖に異常のある野生生物の例が数多く報告されています。
イギリスでは1980年頃、下水処理場の下流で雌雄同体のコイ科の魚「ローチ」が発見され、社会問題となりました。10年余りにわたる調査の結果、羊毛工場で使用されていた界面活性剤の分解物であるノニルフェノールが原因物質の一つであると指摘されました。更にショッキングだったのは、米国フロリダ州のアポプカ湖で見つかったワニです。調査の結果、オスの大半にペニスが正常の2分の1から4分の1といった脱雄性化が見られました。原因は1980年に近くの農薬工場から流れ出たディコホル、DDT、DDEによる汚染であり、孵化率の低下や孵化後の死亡率の高さも認められています。
我が国においても、1990年から1992年にかけて全国32地点で巻き貝の一種であるイボニシとレイシガイを採取し調べたところ、一地点を除き全ての地点でメスの貝にペニスを持つインポセックスが認められました。この原因物質としては、船底塗料に使用されていたトリブチルスズやトリフェニルスズが指摘されています。
このような環境ホルモンの影響と見られる異変は、遠洋の海に住むイルカや鯨、アザラシなどにまで及んでいます。
世界各地より生物異常の例として次のような現象が報告されています。
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ヒトにも見られる性異常
人間の男子は、精子を作る精巣をもっている。精子はその中のセルトリ細胞でつくられている。通常、精子の製造個数は、胎児の時にほぼ決められ、それ以後では、初めに設定された個数しか製造しなくなってしまう。この時、環境ホルモンを体内に侵入すると、セルトリ細胞の個数が通常より減って、そのままの状態で思春期を迎え、精子の製造が普通の人より少ないといった現象が起こる。また、1ml中の精子数が2000万個以下になると不妊症となる。

(不妊症とは、夫婦が2年以上避妊をせずに子供が生まれない場合と定められている。WHO:世界保健機関によると、近年不妊症患者が増加傾向になっている。)
他にも、停留精巣の患者も増加がみられるようになる。
※ 停留精巣とは、精巣が体外に露出せず、体内に残ってしまう症状をいう。
停留精巣の増加
ある病院の調べによれば、停留精巣の患者は、農業地帯出身に多いことがわかった。これは、化学物質を大量に、しかも頻繁に使うという家庭といえば、農家の方が多いため、このような結果がでたのだろう。農家で普通使われる農薬には有機塩系農薬が多く、これは環境ホルモンの一種でもある。
環境ホルモンとなる化学物質が侵入する経路としては、母親が、これらの物質を大気中などから体内に送り込み、これを、胎児に渡ってしまい、その子が、停留精巣となるといった流れだ。
男女の出生率に異常
ある国のダイオキシンを貯蔵していたところが、爆発により、大量のダイオキシンを大気中に放出した。その周辺の住民はそれに汚染されてしまった。その結果、男女の出生率に異常があらわれた。普通、男女の出生率は、1:1でほぼ同等の割合であるのに対し、この地域では、男:女の出生率が1:2となり、女子の出生率が男子の出生率の2倍となった。
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スウェーデンの研究者が発表したデータ。
かなりの増加傾向がみられ、20代、30代で発症率が高かった。環境ホルモンとの関係が疑われているが、はっきりはしていない。子供が母親の胎内にいたときに女性ホルモンのような化学物質にさらされ、ホルモンのバランスが崩れると、癌のもととなる細胞が生まれやすいという説がある。
精子の数の激減
1992年デンマーク ニールス・スカッケベック博士
1940年に健康な男性の精液1ml当たり11300万個の精子が含まれていたが、1990年」には、わずか6600万個にまで落ち込んだというものであった。この研究に対し追試をしたグループが出した結果も同じようなものであった。男性の精子数の減少と生殖器の奇形は、体内で合成あるいは天然エストロゲンに暴露した結果であると結論づけた。

人類の精子数は、これまで、1億個(/ml)程度が普通と言われてきた。
しかし、最近になって、人類の精子数の激減が明らかになった。
これを1992年に世界に発表したのが、デンマークのスカケベクである。
◎現在のところ
・20代の精子数 数

・40代の精子
4580万(個/ml) 7800万(個/ml)
たった20年間の時代の差だけで、3220万(個/ml)の精子が、失われている。また、同じ世代間においても、40代の人の多くは精子数が正常であるのに対し、20代の人の約14%が精子数に異常がみられる。
通常の精子数の多少 近年の精子数の多少
20代 > 40代 20代 < 40代
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ヒトにおける精子激減について高度経済成長と公害問題
現在の20代の人といえば、高度経済成長期ぐらいにあたり、著しく産業が発展した時期である。都市やその周辺部において、多くの工場が建ち並び、日本の再構築が行われた。しかし、人々が、環境に対して軽視していったため、大気・水・土壌などの我々に不可欠な自然環境を汚染していった。その結果、四大公害事件と呼ばれる、環境汚染の大問題に至った。
そういう時代に生まれてきた20代に、その時の汚染の影響が少なからず、この精子激減という現象にあらわれている。幼児期のこの時代に体内へと侵入して影響を与えたのかもしれない。
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他の生物の生殖機能衰退と他の症状
・ワニのペニスの萎縮化。
・イボニシ貝のメスにペニス。オスはインポセックス。
・骨粗鬆症のメダカ。
・精巣と卵巣とを兼ね備える生物。
などといった、生殖機能の衰退や異常、オス・メスの異性化が近年急激にエスカレートしてきている。
いままで化学物質の危険性は、主に先天性の障害や欠損、ガンに焦点が当てられてきた。しかし、それでははかりしれない世代を超えた危険性が忍び寄ってきたのである。しかも性障害ばかりでなく、学習障害や多動症のような行動の面での劇的な変化を起こしてしまう可能性も動物実験では出ている。
(キレル現象も関係があるという主張が、多くの著書にあり、教育問題とも切り離すことはできない)
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身近にある環境ホルモン
環境ホルモンは、意外と身近にある。たとえば、プラスチックは安全と言われてきたが、最近になって、環境ホルモンであるノニルフェノールが見つかり、女性ホルモンの覚乱作用をする。また、このノニルフェノールは、合成洗剤にもふくまれていることがわかった。塩化ビニールには、フタル酸エステルという環境ホルモンが含まれている。
他にも、乳児用の哺乳ビンやある一部の食器にビスフェノールAという環境ホルモンがあり、それから、ポリカードネートとよばれる化学物質が出ている。特に、乳児の哺乳ビンでは、普通の状態と熱湯を注いだときの環境ホルモン量は、倍以上にも増加する。
スチール缶からも環境ホルモンは摘出される。スチール缶の環境ホルモン量は330PPBであった。 家庭で使われる生活水の中にもビスフェノールAが0.36PPB、フタル酸エステルが4.1PPB程度が入っていた。特に、フタル酸
エステルは内分泌覚乱作用をもつ。

現在知られている内分泌攪乱化学物質は70種類以上、この社会では、毎年100を越す化学物質が作られているので研究が進めばこの数は激増することが予測されている。それらの中にはDDTをはじめとする有機塩素系の農薬や代表的な環境汚染物質であるPCB、ダイオキシン類が含まれる。界面活性剤の分解物質であるアルキルフェノール類、プラスチックに添加されているフタル酸エステルやノニフェノール、ポリカーボネート系プラスチックの分解産物のビスフェノール−Aなどである。
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環境ホルモンの疑いがある物質
現在、内分泌撹乱作用が疑われている物質として約70物質が判明していますが、私たちの身の回りには約5万〜8万種という多くの化学物質が存在しており、影響が不明なものがまだ多く、研究が進むことによりされに増えていくことが考えられます。環境ホルモンは、非常に多くの種類があり、影響を及ぼすメカニズムや体内への蓄積の割合や分解のしやすさは多様であるので、細胞レベルで観測した現象と実際の人間への影響の関係、オス、メスの影響力の格差及び野生動物に起こって現象が同様に人間にも発生するかどうかについても不明確な部分があり、世代を超えて影響する物質については、因果関係の特定が大変困難な状況です。
(a)産業化学物質
(合成洗剤、塗料、化粧品、プラスチック可塑剤等)
ノニルフェノール、オクチルフェノールなどのアルキルフェノール類。ビスフェノールAを含むビフェノール化合物の一部。フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸化合物。他。
(b)ダイオキシン
抗エストロジン作用
c)農薬(除草剤、抗真菌、殺虫剤等)
DDT(DDD、DDE)、エンドサルファン、メトキシクロル、ヘプタクロル、トキサフェン、ディエルドリン、リンデン等。(DDTは現在も発展途上国で使用中)
(d)医薬品(合成ホルモン)
DES(diethylstilbestrol)、エチニルエストラジオール(ピル:経口避妊薬)
(e)天然物質
自然界にも環境ホルモンを含んだ食品があります。例えば大豆には、植物性エストロジンが含まれています。しかし、この食物は植物性タンパク質の栄養価が高く、環境ホルモン自体には乳ガンの抑制作用もあると言われているために、やみくもに環境ホルモンの影響だけで摂取をやめるのには問題があると考えられます。
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私たちはどのようにすればよいのであろうか?
内分泌攪乱化学物質を今後は作らないようにすること。
すでに環境内に蔓延している内分泌攪乱化学物質に暴露しないこと。
子宮内で暴露すると重大で永続的な被害を誘発するこれら物質は遺伝子を傷つけたり、世代を超えて突然変異を引き起こすにまでには至らない。また、遺伝子配列を変えることもない。母体ととりわけ子宮から内分泌攪乱化学物質を取り除いてやれば正常な発育を促すことがわかっている。未来の人類のためにも、子供達をできるだけ汚染物質にさらされないようにし妊娠までに女性体内に蓄積される汚染物質の量を最小限にくい止めなければならない。
水に注意する
水道水はもちろん地下水には注意する。
プラスチックは安全とはいえない。
食物に気をつける
汚染されている魚は食べないようにする。
動物性の脂肪はひかえる。
残留農薬には注意する。
食品とプラスチックの接触を最小限に押さえ、電子レンジの調理の時にはガラスか陶器を使う。
化学物質の取りすぎと暴露をさける
手を洗う習慣をつける。
農薬を多用しない。(ゴルフ場は最悪である)
殺虫剤をできるだけ使わないようにする。
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