大腿骨頚部骨折

【治療】

治療法別の特徴と注意すべき合併症は以下のとおりです。
内側骨折 外側骨折
股関節を包む関節包の中の骨折 関節包の外の骨折
解剖学的特徴から骨癒合が得られにくい骨折 内側骨折に比べて血行動態も良好なため比較的骨癒合しやすい
手術の選択は、人工骨頭置換術 (骨頭を切除し、人工骨頭を挿入する手術)が適応 (骨折部位の骨転移が認め、70歳以上(文献によっては60〜65歳)の骨粗鬆症が高度な高齢者)  手術法としては、 Ender法 compression(dynamic) hip screw(CHS)法 gamma nailing(γ-nail)法 ¥-nailing法 などの骨接合術が選択される 
人工骨頭と骨との固着に骨セメントを併用すると、より強固な固着が得られ早期荷重が可能 比較的手術侵襲が少なく固定性に優れているため術後の早期離床が可能
特徴としては、術後安定性・固定性が良好、早期離床・早期起立・歩行が可能、早期の日常生活への復帰が可能です。 術後は早期に離床、早期自動運動を開始することが重要です。

長期臥床によるデメリット(痴呆、褥創、関節拘縮などの二次的障害)の予防が可能です。

 

【牽引療法】

直達牽引(骨牽引法)→大腿骨頸部骨折時、整復に用いられる。
介達牽引(皮膚牽引法)→大腿骨頸部骨折時、術前の整復と安静、術後の安静に用いられる。

【牽引に用いる重鎮の重さ】

直達牽引:骨に直接銅線を通すため5〜10kgくらいまでは可能。
介達牽引:皮膚を介して牽引するため、多くても2kgくらいまで。これ以上は皮膚の損傷が起こる。

【牽引療法時の看護】

1、 牽引を効果的に実施する

【観察項目】

@正しい方向に牽引されているか。
A重鎮は指示通りか。ベットに接触していないか。
B牽引ロープが掛け物に接触したり、滑車から外れていないか。
C包帯の緩みの有無。
D疼痛・しびれなどの症状はないか。
E骨折部の疼痛の有無。
F抹消指趾の運動の有無。
G感染の有無(直達牽引):銅線刺入部の出血、発赤、腫脹、疼痛、分泌物の有無。

 

 

直達牽引

 

 

介達牽引

 

 

2、牽引による合併症の予防

神経症状:抹消のしびれ感や知覚鈍麻などの異常知覚、運動障害の有無に注意。
        特に腓骨小骨は下肢の外旋により圧迫を受けやすいので注意。

【腓骨神経麻痺】
観察
・腓骨小頭周囲の疼痛。
・母趾、足関節の足背屈運動低下。
・母趾、足背の知覚鈍麻。
・下腿外側から母趾にかけてのしびれ。

ケア
腓骨小頭の圧迫防止→下肢は回旋中間位を保つ。
足首の運動をするよう指導する。

 
 

循環障害:骨折・脱臼や手術後の牽引では、特に浮腫や腫脹が起こりやすい。抹消動脈の拍動を確認し、皮膚色や冷感       の有無を観察していく。

褥瘡:骨突出部の好発部位には、スポンジなどで徐圧し予防する。

関節拘縮・骨萎縮と筋力低下:長期間にわたる牽引ではこれらの合併症が起こりやすいので、過度の安静をとらせない                    ように運動の指導を行うことが重要である。

保静:二次感染の予防。

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