痴呆性老人ケアについて

〇老人の痴呆ケアについて
痴呆老人のケアの原則を考えるには、痴呆症状や行動を一つひとつバラバラに取り上げるのではなく、それらに共通してみられる特性を洗い出す作業を試みるのも一つの方法であると考えられる。
最も大切なことは、人間は痴呆をいう障害を抱えながらも幸福に生きられるし、また幸福に生きる権利があるという、当然の前提に立って、「その人を丸ごと受け入れて、できるだけ機嫌の良い状態を保つ」ということと、痴呆の特質(例えば忘れやすいということ)をうまく利用するということです。

〇痴呆の症状や行動について
・事実の誤認
幻覚・妄想・精神混乱、人物誤認、もの忘れ、見当意識障害、人物変化、作話など。
・失敗行動
徘徊、放尿、火の不始末、異色、弄便、他人の物を使うなど。

〇症状や行動に対する対応ポイント
・話題を変え、「忘れることを」を利用する。
・同じ感情を共有して、見方になる。
・同じ立場になり、不安を取り除く。
・否定しないで、まず受け入れる。
・高齢者の安全を守るネットワークづくりをおこなう。
・説得よりまず安心感を抱かせる。
・介護者が冷静になって対応する。
・厳しく叱責することは逆効果である。
・転倒予防に注意する。(滑りやすいものを置かない、段差をなくす、廊下や階段にはてすりをつける、夜間廊下の照明をつけておく)
・火のふしまつが心配なときは、室外の元栓をしめたり、電磁調理器や不燃物を使用する。
・風呂やトイレなどの場所がわかりやすいように目印をつけ、トイレは外から開けられるようにしておく。
・全体としてできるだけ、老人がそれまで通りの生き方を継続できるような配慮をする。痴呆性高齢者は新しいことを覚えるのが苦手であるため、痴呆高齢者の周りを既知の物や過去の雰囲気でつつむ。

〇痴呆高齢者の気持ち
 痴呆高齢者は、自分が痴呆であるという自覚がありません。自分で「ぼけた」というときでも、本当に自分の状態を理解しているわけではなく、半ば謙遜したり、周りから言われていることが口癖のようになって、言っていることが多いものです。そのため、自分の行動にプライドをもっています。ですから、自分が失敗したことを見せまいとして、かえって「問題行動」をおこしてしますのです。 また、自分の衰えなどに対する不安などで心理的に不安でもあります。自分の失敗を自分じゃないと言い張ったり
あるいは感情のコントロールする機能が低下するために、ちょっとしたことで怒ったり、泣いたりすることもあります。 痴呆性高齢者は、周囲との意思疎通ができないことをもどかしく思っています。また、それだけに感情の面では研ぎ澄まされていて、相手の好悪の感情に敏感に反応します。そして、相手が自分のことを良く思っていないということを嫌い、相手が興奮しているということに興奮します。そして興奮している自分によけい興奮するのです。 痴呆性高齢者も機嫌のいいときは、落ち着いています。痴呆性高齢者が落ち着かなかったり問題行動を起こしたりするのは、実は介護者の不安や動揺や嫌悪を感じているせいであるとも考えられます。痴呆が進んでいても、このように痴呆性高齢者の心には、私達にも十分理解したり、共感したりできる部分は残されていると考えられます。
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