気管切開

 

〜気管切開の適応〜
1.上気道の閉塞
咽頭・喉頭の腫瘍。
●外傷、特に咽頭・上部気管損傷。
●舌・咽頭・喉頭上部気管の炎症性浮腫。
●異物による上気道閉塞。
●両側声帯麻痺。
2.人口呼吸補助を必要としている病態
●慢性閉塞性肺疾患による肺胞性低換気。
●薬物中毒による肺胞性低換気。
●胸壁動揺(フレイルチェスト)。
●呼吸筋の麻痺。
3.気道分泌物による換気障害
●術後気道物の排出困難。
●意識レベル低下による気道分泌物の喀出困難。
●胃液の誤嚥。
〜皮膚切開と皮下臓器の位置関係〜

〜逆U字型気管切開法(ブジョルクBjork法)〜

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胸骨舌骨筋を開排し、甲状腺狭部を受動して、鉤(はり)で上方に開排して気管前靭帯を切離する。
A 第3、第4気管輪に逆U字型を加える。
B 逆U字型気管弁を翻転して、下方の皮下に1針固定する。
〜気管切開により生じる問題〜
1.気管切開に関連した気道粘膜の損傷
気管切開は、第2〜3気管軟骨輪上に実施される。第1気管軟骨輪の損傷は肉芽形成が起こりやすいし、   第5気管軟骨以下では気管腕頭動脈瘻のような合併症の危険性がある。
気管カニューレの材質が硬いために、組織反応が強くあらわれたり、カフの圧迫によって気道粘膜の障害を起すことがある。
2.言語的コミュニケーション障害に関連した情動不安
3.多量の粘調な気道分泌物・頻繁の吸引操作・咳嗽
粘調性に富んだ多量の気道分泌物の貯留は、気道粘膜やカニューレの閉塞を起こし、換気障害・低酸素血症をおこす。咳嗽反射の低下している栄養状態の悪い患者、意識レベルの低下している患者に起こりやすい。
この状態が続くと、感染症・無気肺・肺炎を併発する可能性を持っている。
.ガス交換の障害(換気障害)に関連したセルフケア不足
清潔行動(局所の清潔と全身の清潔)、排泄行動、更衣、姿勢、体位の交換に対する援助が必要となる。
5.気道分泌物貯留、不十分な過湿、吸引操作、清潔保持の不適切に関連した感染症の危険性
瘻孔形成のような、外科的侵襲を受けている場所は抵抗性減弱部位とよばれ、細菌感染の入り口となり、健常なときの常在菌も病原性を持ち、分泌物を増量させて無気肺・肺炎へと移行する危険性を持っている。痰の性状が膿性で量が増加した時には、細菌検査を定期的に行う必要がある。
6.多様な苦痛要因に関連した非効果的なストレスコーピング
7.気管切開の合併症(出血・気管狭窄・皮下気腫・無気肺・肺炎)
〜効果的な換気のための気道の清浄化と過湿〜
分泌物は気道の乾燥によって粘調性を失い、喀出困難となる。通常、鼻呼吸によって流入された空気は咽頭で、32〜34℃に温められ、80〜90%の湿度となる。
さらに、気管分岐部では、35〜37℃、95〜100%となって、肺胞に送られガス交換が行われる。
気管切開患者は、鼻・咽頭を通過しないで、乾燥した空気が直接気道に流入することになる。そこで、十分に気道の過湿をすることが重要となる。そのほか、過湿によって気管・気管支の線毛運動の低下を予防することができる。
1.気道の過湿を促進する方法と注意点
超音波ネブライザー、気泡式加湿器、人工呼吸器を長期使用するときは、水分が過剰投与となるので、肺胞換気障害やれん縮に注意する。

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