排泄

寝たままでは尿が出にくいのはなぜか? 腹圧を高め、排尿を促進しすることが困難なためです。
*point*

安静が必要なために、ベッド上での排泄しなければならない場合の看護のポイントとして、次のようなことがあります。

@環境に対する配慮
・カーテンやスクリーンで仕切り、綿毛布やバスタオルなどを用いて身体の露出を最小限にする。
・状態により排泄時は患者を1人にし、ナースコールを手元に置く。
・窓を開け換気を十分にし、消臭剤の使用などを考慮する。
・室温は寒すぎないようにする。
・ラジオやテレビをつけるなどして排泄時の音を消す。
・個室の場合は、入室禁止などの表示 をする。
・ラジオやテレビをつけるなどして排泄時の音を消す。
・リネン類の汚染を予防するために、防水シーツなどを使用する。

A安楽な体位
・腹圧がかかりやすく、尿が背部にまわらず安心して排尿できる体位は、 上半身を30度くらい挙上した体位である。

B患者に適した物品の選択
・患者がどの程度腰を上げられるか、排泄量、体格、好みなどを考慮し、 患者にあった便器を選択する。
・冷たい便器をあてると筋肉が収縮して排尿しにくくなることや患者の不快感を防ぐために、便器は温めるかカバーをかけるなどして使用する。

C尿器・便器の当て方
・男子用便器を用いる場合は、陰茎の先端を尿器の口に入れ排尿する。
・女性用尿器を用いる場合は、尿器の受け口先端を会陰に密着するように当てる。
・腰が自分で上げられない患者の場合は、マットレスを下にして殿部とマットレスの間に隙間を作り便器を差し込むか、看護婦の腕を腰部に深く差し入れ、患者の腰を浮かして便器を差し込む。
・患者の協力が得られる場合は、膝を立てて腰を浮かしてもらい便器を差し込む。
・肛門部が便器の受け口の中央にくるように差し込み、身体が安定しているかを確認する。
・便器挿入後は掛け物をかける。

D排泄後の清拭
・女性の場合は尿路感染予防のため、尿道から肛門に向かって拭く。
・俳便後は拭き残しがないか確認し、必要時陰部洗浄や陰部清拭をを行い清潔を保つ。
・看護者は、他への感染予防のため、ディスポーサブルの手袋を使用する。
・排泄後は、手を洗う日常生活習慣を尊重する。手浴またはおしぼりやウェットティッシュを用い、患者の手を 清潔を保つ。

E排泄後の観察
・残尿感、排尿痛、肛門痛等の有無を観察する。
・排泄物の量、性状を観察する。

F後片付け
・排泄後は速やかに後片付けをする。臭気が残らないように換気をしたり、消臭剤などを使用する。

〜看護者の態度〜
・看護者の不用意な言葉や態度は患者を傷つけたり、その後の患者の排泄行動に影響を及ぼすことを考慮して援助する。

★注意が必要な言葉や態度の例
・「ちょっと待って」を使っていませんか?患者はナースコールを押すまでにはかなり我慢をしていることを理解しましょう。

・面倒そうな顔、忙しそうな顔をしていると、患者は遠慮して頼みにくくなってしまいます。

・看護者の技術が不十分あるいは不安定であると、患者は失敗していまうのではないかと不安になってしまします。

H排尿を促す看護
・下腹部をマッサージあるいは軽く圧迫する。
・可能であれば、上半身を起こす。
・尿器を温める。
・プライバシーを守る配慮をする。
・水を注ぐ音を聞かせる。
・陰部に微温湯をかける。
・緊張をやわらげる会話をする。

膀胱に尿がたまると、尿意をもよおすのはなぜ? 膀胱内に尿がたまると、膀胱内圧が上昇するためです。
●尿意を感じる膀胱内圧は?

 腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱内へ送られますが、膀胱内に尿がたまると膀胱内圧が上昇します。この膀胱内圧は階段式に上昇するといわれ、膀胱内に少量の尿が貯留している段階では、膀胱壁の弛緩による内腔の拡張により、ほとんど膀胱内圧の上昇は見られません。しかし、次第に量が多くなると内圧の上昇が見られ、 内圧が15〜20cmH2Oに達すると、尿意を感じるようになります。

●尿意を感じる膀胱容量は?

一般に正常人の膀胱容量は500ml前後ですが、尿意を我慢して1日の排尿回数が少ない人では膀胱容量は1000ml前後となります。とくに病的な状態では、最高4000mlもの尿を貯留することが可能といわれています。
膀胱内にある程度尿が貯留され、前述の膀胱内圧が15〜20cmH2Oとなり、はじめて感じる尿意を初発尿意と呼びます。個人差や環境などによって変わりますが、おおよそ200〜250mlの尿量が膀胱内に貯留している状態と考えられます。また、最大膀胱容量まで我慢したときの尿意を最大尿意とよんでいます。
正常人の尿意発現は、以上述べた膀胱内圧の上昇が関与していますが、ほかに膀胱炎などによる壁への炎症刺激や、膀胱結石による物理的刺激、精神的な不安定状態では、少量の尿貯留であっても尿意を感じることがあります。

夜間はあまり尿意をもよおさないのはなぜ? 夜間、睡眠中は膀胱の弛緩、内腔の拡張が著明であるためです。
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★頻尿を訴える患者看護のポイント
・神経を使わせないような環境を整備する。
・腰や足元を冷やさないように衣服を調節し、保温する。
・夜間頻尿の場合、夕方以降は多飲しないようにする。
※水分を全く摂取しないと、脱水症状を起こすおそれがあるため注意する。

女子の導尿時、カテーテルの長さが4〜6cmなのはなぜか? 女子の尿道は短く、これ以上長いと膀胱壁を傷つけるおそれがあるためです
★女子の尿道の長さは?
女子の尿道は男子と比べて短く、約4cm(3〜5cm)の長さであるといわれています。カテーテルの先端は膀胱内に届けばよいわけですから、カテーテルの挿入の長さも4〜6cmあれば十分といえます。逆にそれ以上長く挿入すると、先端が直接膀胱粘膜を損傷する可能性があり、一般的に10cm以上の挿入をしてはいけません。
★男子の尿道の長さは?
男子の場合、陰茎部の尿道が長く、18〜20cmの長さがあり、カテーテル挿入の長さも18〜22cm必要です。このような、解剖学的な違いから、女子のカテーテル挿入は、外尿道口の確認さえできれば、男子と比較して容易であるといえます。
導尿を行う時には、無菌操作なのはなぜか? 導尿時には尿路感染を起こす可能性が高いためです。
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★導尿を必要とする患者の看護のポイント
・導尿の目的・方法を説明し了解を得て、協力してもらう 。
・言葉かけにより十分に気分をリラックスさせ、筋の緊張をとる。
・スクリーンやカーテンで仕切り、両下肢を十分に覆うことにより羞恥心を軽減する。
・女性の場合、両膝を立て軽く両下肢を外転し、腹部の緊張をとるとともに外陰部が露出しやすい体位をとる。
・無菌操作で行い、カテーテル挿入時は滅菌手袋を装着するか、鑷子を使用して、尿路感染を防ぐ。
・カテーテル挿入時は、外尿道口を消毒綿球等でよく拭いてから挿入する。
・陰部の汚れがひどい場合は、陰部洗浄を行ってから消毒する。

留置カテーテル中の畜尿バッグは、なぜ膀胱より高く上げてはいけないのか? 導尿がスムーズに行われ、逆流を防ぐためです。
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★留置カテーテル挿入時・挿入中の患者の看護のポイント
@観察事項
・尿量、尿の色、混濁および浮遊物の有無、尿の流出状態
・カテーテル挿入部の違和感の有無、尿意の有無

A尿路感染を防ぐため陰部洗浄を行うなどして陰部を清潔に保つ。

B径口摂取が可能な場合は、水分を十分に取り、膀胱内に尿を停滞させない。

便意をもよおすのはなぜか? 直腸内容物である糞便の貯留により、直腸内亢進により刺激が便意を感じさせるためです。
★便意をおこすのは?

このようにして直腸に糞便がたまり、 直腸内圧が40〜50mmHg以上になると、直腸壁に分布している骨盤神経が刺激され、そこから視床下部3〜4仙髄にある排便中枢に伝えられます。さらに、そこから視床下部を経て大脳皮質の知覚領に入り、いわゆる便意をおこします。

排便時、尿も一緒に出るのはなぜか? 直腸における排便機能を調節する神経と膀胱の排尿機能お調節する神経とは、互いに連絡があるためです。
摂取した食物が残渣物(ザンサブツ)として排泄されるまでにどのくらい時間がかかるの? 健康人では食事を摂取してから72〜78時間後に、その消化残渣が糞便となって排泄されるといわれている。
便にいろいろ性状があるのはなぜか? 便は、食物が口から摂取されて排泄されるまでの間の腸管の消化、吸収、運動などの状態を反映しているためです。
★各原因による便の性状は?

便の性状は、固形便・有形便・泥状便・水様便等に区別され、腸管の蠕動が亢進しているときや炎症のため水分の吸収が不十分なときは下痢便となります。>正常では有形軟便から軽度固形便ですが、結腸に長く停滞すると(いわゆる便秘)、硬い糞塊を形成して兎糞(トフン)様便となります。また、直腸に狭窄があるとき、あるいは大腸に痙攣性収縮のあるときは鉛筆様便となります。

便秘時、果実、野菜、水分などを多くとるとよい理由は? 腸の蠕動運動を促進させて、排便を促すためです。
★便秘を予防する食品
1、機械的刺激となる食品
@繊維の多い野菜 ごぼう・にんじん・レンコン・いも類・豆腐・白菜
A果物 バナナ・桃・プラム
2、化学的刺激となる食品
@甘味の強い食品 乳糖・あめ・砂糖漬の果物・蜂蜜
A酸味の強い食品 なます・ヨーグルト・レモン・夏みかん
B塩辛い食品 みそ漬・塩辛
C脂肪の多い食品 牛乳・バター・マヨネーズ・うなぎ
3、物理的刺激となる食品
@冷たい食品 冷たい牛乳・ビール・果物
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★下痢時の看護のポイント

@下痢の原因及び下痢を誘発する条件や訴えを理解する。
A観察事項。
・急性の下痢か、慢性の下痢か?
・排便の回数、便の性状、混入物の有無、腹痛や腹鳴の有無と部位。
・聴診や触診での腸の蠕動運動の状態を把握する。
・食事・水分の摂取量及び種類。
・下痢を誘発する条件があるか(冷たい飲み物、消化しにくい食事、環境の変化、ストレス等)
B安静。
C腹部を冷やさないように、保温する。
D水分の補給(指示によって輸液を行う)。
E温かく消化もよいものを、少量ずつ摂取する。
F口腔内の清潔を保つ。
G手洗いを励行する。
H感染性の下痢の場合は、消毒を厳重に行う。

浣腸を無菌操作で行わなくてよい理由 健康人の大腸内には、腸内細菌叢により最近が常在しているので、無菌操作をしても意味がないため。
浣腸時、カテーテルを10cm以上挿入してはいけない理由 挿入が長すぎると腸粘膜を損傷する危険性があるため。
★カテーテルの長さ

成人の直腸の長さは約20cmです。したがってカテーテルをおくに挿入しようとすると、S状結腸へ移行する部位の腸壁や直腸膨大部に存在する直腸弁を機械的に損傷する危険性があります。
一般には、カテーテルを7〜8cm挿入すれば安全で、しかも所期の目的が達成することができます。

浣腸時側臥位になるのはなぜか? 腸の走行に合っていて無理なく浣腸液が注入できるから。
★腸の走行

解剖学的に下行結腸以下のS状結腸の走行は、左上より右下方向へ走っているため、左側臥位をとるとS状結腸以下の部位はきわめて自然な位置をとることができます。また、左側臥位は肛門をはっきり確認することができるので、挿入が容易であると同時に安全です。

高圧浣腸時、イリゲータの高さを肛門から50cmくらいにするのはなぜか? 腸粘膜に対して、浣腸液の圧力が、機械的刺激として最適であるためです。
浣腸のカテーテル挿入時、患者に口呼吸させるのはなぜか? 緊張して腹圧がかからないようにし、カテーテルを挿入しやすくするためです。
浣腸液を注入した後、5分くらい我慢させるのはなぜか? 浣腸液が腸管内に留まることが、腸に適度な機械的刺激となるためです。
★排泄を我慢させてはいけないのは

重症患者、衰弱患者、高血圧患者を、必要以上に排泄を我慢させたり、長時間努責(ドセキ)(いきみ)させると、体力の消耗や血圧変動などがみられるので十分注意し、無理させないようにします。

浣腸液の温度を41度程度にする理由 腸壁を軽度に刺激して、適度の蠕動運動をおこさせ、しかも自覚的に気持ちのよい温度であるため。
★浣腸液の温度が決まっているのは

直腸音は口腔温・腋窩温よりは高く、普通37.5〜38.0℃くらいです。浣腸液の温度はこれよりも高くても、低くても、とくに腸粘膜を刺激します。
一般に温度が高いものは、腸粘膜への刺激が強すぎて炎症を起こし危険です。また、温度が低いものは腸壁の毛細血管が収縮して血圧上昇させたり、腸痙攣を起こす可能性もあります。

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