3、胎盤(羊水)の生理
1)胎盤
胎盤は胎児の生活機能を調節する基本的な器官で、胎児の成長と生存のためにきわめて重要なものです。胎盤は胎児の発育とともに成長しますが、成熟してやがて老化します。
 

妊娠末期には胎盤は平円盤状直径およそ15〜20cm厚さ2〜3cm重量は約500gでだいたい胎児体重の1/6です。

胎児面は胎児に面している側で、表面は羊膜に覆われ、淡灰色・平滑で光沢があり、卵膜と臍帯が付着しています。卵膜脱落膜・絨毛膜・羊膜からできている薄い透明な弾力性のある膜で羊膜が胎児側をつくります。卵膜は胎盤の周辺から広がり、袋状になって胎児・臍帯・羊水を包んでいます。
子宮収縮などによって内圧が上昇すると卵膜は破れます。これを破水と言って、分娩開始の重要な兆候の1つです。卵膜は破水前には頸管からの胎児を守るのに役立っています。
胎盤の母体面は子宮壁に付着している側で、暗赤色、表面は粗造で凹凸不平で、不規則な溝によって多数の大小不同の分葉に分けられ、肉塊様の外観をしています。母体面の広さは子宮に適合するために胎児面よりやや広いです。

2)胎盤の構造と機能
胎盤の各分葉には細かく枝か分かれした多数の絨毛があります。胎盤の一部を裂き、組織をほぐして水中に浮かすとそれを見ることができます。絨毛はこのように胎盤内で母体の血中に浮かんでいます。母体の血液は子宮動脈を経て胎盤に流入し、絨毛間腔に入ります。
一方、胎児の血液は臍動脈を通って胎盤に入り、絨毛内の毛細血管を通り、胎児血と母体血とは直接に接触しない。絨毛は絨毛間腔の母体血から、水・酸素・栄養物を吸収し、これらを臍帯を通して胎児に送ります。一方、胎児の代謝によって生じた二酸化炭素(炭酸ガス)、その他の老廃物は臍帯を通って胎児から胎盤に戻り、おそらく浸透圧によって母体血中に排泄される。

抗生物質・ビタミン剤・その他のある薬物も胎盤を通って胎児に移行する

母体血は胎盤内にははいらず、胎児血は胎盤から母体側へは出ないので、母体血と胎児血が混合することはなく、1つの柵になっています。ただ、この柵に少しでも破れがあると胎児血から母体血へ、また母体血から胎児血に赤血球などが胎盤を通して移行することがある。

胎盤は、酸素・栄養物を供給し、二酸化炭素・老廃物を排泄する通路である。
その他に胎盤は、絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、胎盤性ラクトーゲン(hPL,hCS)などのタンパクペプチドホルモンやエストロゲン・プロゲステロンホルモンを産出する重要な内分必器官としてもはたらいています。

3)胎盤の構造と血行

臍動静脈は絨毛膜板のなかで枝分かれし、1つの分葉に2本の動脈と1本の静脈が分布する。子宮動静脈は子宮筋層のなかで枝分かれし、脱落膜を貫いて胎盤にはいる。
A. 分葉は絨毛膜板に付着し、脱落膜の中に入り込んでいる。臍静脈(静脈血が流れている)の枝は分葉のなかで毛細血管に分かれ、これが臍動脈の毛細血管に移行する。
B. 母体血は子宮胎盤動脈を通って絨毛間腔にはいり、そこを流動してから胎盤の下に広く分布している静脈にはいって母体循環に戻る。
C. 分葉と分葉の間には胎盤中隔が残されていて、そこには絨毛が入り込んでいない。
D. 分葉の大きさは大小さまざまである。
4)羊水の機能
羊水(羊膜液)は羊膜から分泌され、卵膜内に存在し胎児の生活環境を作っている液体です。
無色透明のアルカリ性。したがって、酸性である尿や膣分泌物と識別できます。
羊水の量は個体差がありますが、1,000mlを超えることはまれで、800mlを越すときは羊水過多、それになんらかの自・他覚症状を伴う場合は羊水過多症とよばれ、胎児にも母体にも障害を及ぼすおそれがあります。
羊水中にはふつう白い脂肪のような微片があります。これは、胎脂といって、胎児の皮膚を体液環境から守る為におおっているものです。
羊水は胎児・胎盤・臍帯などの子宮壁から圧迫されるのを防ぎ、胎児の運動を自由にして四肢の発育をたすけ、また胎児の運動を母体にやわらかく感じさせ、胎児と卵膜との癒着を防ぐのに役立っています。
また分娩の時には胎胞をつくり、頸管を除々に開き、胎盤の早期剥離を防ぎ、さらに破水によって産道を潤滑にして胎児を通過しやすくするとともに、産道内の不潔物を洗い流す役目も果たしています。

Back