◆頭蓋内圧亢進に対しての看護
頭蓋内圧亢進症状

【慢性症状】
1.頭痛
2.悪心(嘔気)・嘔吐
3.うっ血乳頭

【急性期症状】
1.意識障害
2.瞳孔不同、対光反射の減弱、消失
3.呼吸の変化
4.血圧の上昇、脈圧の増大
5.片麻痺の増強か出現、腱反射の異常
6.異常姿勢
7.体温の上昇

【頭蓋内圧亢進時、頭痛が起こる理由】
頭蓋内圧が亢進すると、硬膜や脳血管に存在する痛覚受容体が圧迫されたり、牽引され頭痛が起きます。頭蓋内圧亢進による頭痛は、早期起床時に最も強いのが特徴です(Morning headach)。これは、長時間の臥床により、頭蓋内からの静脈内灌流が減少し、頭蓋内血液量が増加するためであると考えられています。また、睡眠時には、呼吸は抑制的で気道も閉塞気味となって換気が悪くなることにより、脳血液中のPCO2増加し、脳血流量が拡張され、脳の容積が増加してしまうことも一因となっています。

【頭蓋内圧亢進時、嘔吐・嘔気が起こる理由】
延髄の弧束、つまり第四脳室底の最後野には嘔吐中枢があります。この中枢が頭蓋内圧亢進の結果、多くは間接的に、時には直接的に圧迫刺激され、嘔気、嘔吐を引き起こします。悪心を伴わず、突然吐くのが特徴です。噴出性嘔吐といいます。嘔吐した後は、頭痛が軽減することがあります。その理由は嘔吐によって過呼吸になり、PCO2が下がり頭蓋内血液量が減少し、頭蓋内圧が下降するからです。

【頭蓋内圧亢進時、うっ血乳頭が起こる理由】
視神経周囲には、頭蓋内からくも膜下腔が延長して存在するため、頭蓋内圧亢進とともに網膜中心静脈が圧迫され、ぞの静脈圧が上昇することにより、抹消部の静脈がうっ帯、怒張し起こると考えられています。このうっ血乳頭が認められるようになるのは、最低数時間から通常数日を要し、この観察は眼底鏡を用いて行われます。視力視野狭窄が出現して長期にわたると、失明の危険があります。

【頭蓋内圧亢進時、外転神経麻痺が起こる理由】
一側ないし両側の眼球が鼻側に偏位し、複視を訴える場合があります。外転神経は、脳幹(橋)の背部から出て、走行する距離が最も長い神経で環境の変化の影響を受けやすいことと、上方へ向かって走行するため、脳幹の下方への圧迫偏位を受けやすいと考えられています。

【頭蓋内圧亢進を亢進させる因子】
・高CO2血症、低O2血症
・血管拡張剤
・排便時のいきみ
・体位
・等尺性筋運動
・咳嗽とくしゃみ
・REM睡眠と睡眠からの覚醒
・感情的錯乱と不快刺激

【高CO2血症、低O2血症で頭蓋内圧が亢進する理由】
血中の炭酸カス過剰で、血管は拡張し血液量が増えます。 低酸素下では、酸素の供給を上げるために血液量が増えます。したがって、これらの要因によって脳血管が拡張し場内血液量増加が起こり、脳腫脹の状態となり頭蓋内圧が亢進します。患者さんの換気が低下すると炭酸ガス過剰になりやすくなるので、呼吸障害について十分観察していく必要があります。

【高CO2血症を引き起こす因子】
・睡眠
・薬剤による鎮痛
・不安反応。刺激時にみられる浅い呼吸
・昏睡などの意識障害
・呼吸中枢、呼吸筋の障害
・呼吸器疾患(肺炎など)
・肥満

【体位と頭蓋内圧の関係について】
脳の静脈系には弁がなく、腹腔、胸腔、頸部の圧が上昇すると、静脈系の圧が上昇し、脳からの静脈内灌流が阻害され、頭蓋内圧が亢進します。このような理由から、頭蓋内圧亢進のある患者では、腹腔、胸腔、頸部の圧を上昇させるような体位は避けなければいけません。

【頭蓋内圧を亢進させる体位】
・トレンデレンブルグ体位・・・頭部が下げられるため静脈還流が悪くなる。
・服臥位・・・頸を捻るとともに、胸部や腹部を圧迫する体位となる。
・股関節の過屈曲・・・股関節を過屈曲すると、腹部を圧迫する体位となる。
・頸を曲げる体位・・・頸を曲げると内頸静脈を圧迫し、静脈還流が阻害されるためです。
 ※一般的に右の方が静脈が太いため、右側に曲げたほうが頭蓋内圧を上昇させます。

【頭蓋内圧を亢進させないための関り】
・脳循環改善のために頭部を20〜30度挙上させる。
・脳の静脈還流を悪化させないために、頸部を曲げないように枕の高さを調節する。
・低酸素状態を予防するために、気道の閉塞に注意する。
・排便コントロール・・・排便の時にいきむと頭蓋内圧が亢進することがある。
・排尿コントロール・・・尿閉状態が続くと、胸腔内圧が上昇して動脈血が心臓に戻りにくくなり、脳に血液がたまって頭蓋内圧亢進を助長させる。

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