◆頭蓋内圧亢進 , モンロー・ケリーの法則
【頭蓋内圧亢進とは】
何らかの病変によって頭蓋内容量が限度を超えて増加することにより、通常は代償作用で一定に保たれている頭蓋内圧が(ICP)が高まった状態です。

【頭蓋内圧の決定要因】
頭蓋骨の中(1900ml)に、1500gの脳と110mlの髄液と70mlの血液が入っています。

この時の圧力が、150〜180mmH2Oです。

【正常時の脳:髄液:血液の容積比は8:1:1】
一般的な脳圧は、(側臥位)150mmH2O〜180mmH2O です。
200mmH2O以上は頭蓋内圧亢進 です。

【修正モンロー・ケリーの法則】
頭蓋内圧亢進について理解するにあたって、大切な法則があります。
それは、「脳の容積+髄液量+血液量+α=容積一定」の法則です。
頭蓋骨が骨でできているので、容積は一定であるのは当然ですね。
ここでのαは腫瘍や出血、脳浮腫などをイメージしてください。
脳の容積+髄液量+血液量+αのそれぞれが頭蓋内圧を決める因子です。



【頭蓋内圧の緩衝作用】
脳の容積が減ることはないはずですから、腫瘍や出血によって余計なものが増えた分、髄液や血液が、頭蓋外に出て量が減れば容積は一定に保たれるはずです。
例えば、浴槽に1人で入っているところに、もう1人入ると、お湯がこぼれますが全体の容積は一定です。

★容積が一定であれば、圧力は一定のはずです。
浴槽に2人くらい入ったくらいでは、圧迫感はありませんね。

★さらに腫瘍が大きくなったり、出血量が増えたら、頭蓋内圧が高くなることは想像できます。
そのうえもっと増えたら、脳が押しつぶされてはみ出してしまいます。(脳ヘルニア)

★頭蓋内に腫瘍や血腫などの占拠性病変が発生すると、頭蓋内圧を正常に維持するための働きが生じます。

★これは、脳脊髄液量と血液量の減少によります。減少には時間を要します。

★そのため緩やかな変化に強く、急激な変化に弱い特徴があります。 では、これを超えた場合はどうなってしまうのか?

ぎりぎりまで圧上昇をきたさないが、きたしたら急速に進行する。
これが、ポイントです。 その予備能力を超えたら脳が急激に圧迫を受け、脳組織が逃げ場を求めて動き出します。
これが、脳ヘルニアです。
しかも、あっという間に完成する可能性があります。
これ以前が治療(脳圧下降剤の投与やドレナージ、減圧術)のタイミングです。
見方を変えれば、少しだけ容積を減らしただけで圧力を大きく下げるという治療の可能性をも示しています。

ですから、Nsは頭蓋内圧亢進症状のサインを見逃さないようにしっかり観察し、サインが見られた時はすぐにDrへ報告する必要があります。また、予防のための看護を行っていく事が大事です。

【灌流圧低下をきたす】
水は高いところから低いところへ、圧力の差によって流れます。
圧較差が大きいほど勢いよく流れます。
動脈血も、灌流圧という圧力で頭蓋内に流れ込みます。
灌流圧=平均血圧−頭蓋内圧と表すことができます。
灌流圧の平均維持目標は、70mmHgです)頭蓋内圧が亢進すると、灌流圧が低下し、脳血流が減少します。
さらに亢進し血圧よりも高い場合、血液は頭蓋内に入らなくなります。

脳血管造影をしていも、造影剤が頭蓋内に入らないなんて恐ろしい事が起こります。

ゴムの風船を膨らましている時、パンパンになった風船の圧力が高まったら、空気を入れるのが困難になる事をイメージすれば理解しやすいと思います。
ですから、クッシング減少は、この観点から実に目的にかなった減少であると言えます。

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