GnRHアナログを使用すると最初に下垂体は強く刺激され、一時的にゴナドトロピンを大量に分泌します。(フレアアップ現象。)

 しかし、それを越えて継続使用すると左のグラフのように、急激なゴナドトロピン分泌の低下が起こり、卵巣が刺激されなくなるので女性ホルモンも閉経レベルに低下します。(ダウンレギュレーション。)

 従って、これらの薬剤の中途半端な使用や使用量の誤りは期待する効果が十分得られないばかりでなく、かえって逆の効果を生み出すこともあり注意が必要です。


 強い刺激を慢性的に受けるとかえって反応が鈍くなるのは、一種の体の防御機能と言えるでしょう。

 皆さんは狼と少年の童話をご存じですか。ダウンレギュレーションはこれに似ています。少年(GnRHアナログ)は狼が来たと叫んで村人(下垂体)を驚かせますが、そのうち慣れた村人は見向きもしなくなるのです。

 

 不妊症領域においてGnRHアナログの使用は主に、

 子宮筋腫や子宮内膜症の偽閉経療法

 体外受精・胚移植におけるゴナドトロピンの分泌抑制

この2つに用いられます。