枯れる森
改定2001年08月20日
すべて おわった
僕らは この杉林で育った ずっと 隣の彼と一緒だった
空には 鳥がいた 虫もいた 水には 魚がいた 花も咲いた
二人づれが 歩いていった
半年前 隣の彼は からだ中 点々と黄色くした 苦しそうに もうだめだといった
それから一月 からだじゅう 真っ赤になった 一月後 おじさんがチェンソーで切った
それから一月 ぼくも からだ中 黄色くなった もうだめだ
一月後 その木は 真っ赤になった
鳥もこない 虫もこない 魚もいない 花も咲かない だれも通らない
おじさんもチェンソーを持ってこない
どす黒い水が さざなみを立てた
こなごなになりかけたビニールが 風に舞った
すべて おわった
20世紀人は、一世紀かけて自然を使い捨てにしました 使い捨てた自然は戻りません 後世に渡すべき自然を使い捨てにしてしまいました。私もその一人です。