人工呼吸器装着時の介護:必要な知識 よくあるアラームの原因と対処方法


※人工呼吸器の種類によりアラーム・トラブルの原因・対処などは
多少異なります。

在宅で人工呼吸器を装着している方のトラブルで多いのは、
呼吸器回路のはずれやゆるみ、痰などによる気道抵抗の増加、気管カニューレの
カフリーク、ファイティング、呼吸回路のチューブや付属機器の破損・亀裂、
センサーチューブに水滴貯留などがあります。



◆ 呼吸器回路のはずれやゆるみがある場合のアラームの種類と対処

各接続部分のはずれやゆるみがある場合は、人工呼吸器から送りだされた
空気が外に漏れるため、気道内圧は低下します。
吸気圧下限(気道内圧下限、回路内圧下限、低気道内圧)アラームが
鳴ります。

ウォータートラップ、加温加湿器チャンバーのキャップ、Yピースなどの
接続部分をチェックし、ゆるみやはずれがある場合は、しっかりと接続します。


◆ 痰などによる気道抵抗の増加がある場合のアラームの種類と対処

痰などが気道に貯留している場合は、気道内圧が上昇します。
吸気圧上限(気道内圧上限、回路内圧上限、高気道内圧)アラームが鳴ります。
原因となっている分泌物を吸引し除去します。


◆ 気管カニューレのカフリークがある場合のアラームの種類と対処

カフ内の空気が漏れている場合は、カニューレと気管の隙間が大きくなり
十分な換気ができなくなります。
呼吸器から送り出されたガス(空気)が隙間から体外へ漏れてしまうため、
気道内圧は低下します。
吸気圧下限(気道内圧下限、回路内圧下限、低気道内圧)アラームが
鳴ります。

適正なカフ圧に調整します。
破損している場合は、気管カニューレを交換します。


◆ 呼吸回路のチューブや付属機器の破損・亀裂がある場合のアラームの種類と対処

チューブや付属機器に破損や亀裂がある場合は、ガス(空気)が外へ
漏れやすくなり気道内圧は低下します。
吸気圧下限(気道内圧下限、回路内圧下限、低気道内圧)アラームが
鳴ります。

チューブやウォータートラップ、Yピース、呼気弁などのチェックを行い、
破損や亀裂がある場合は交換します。


◆ ファイティングがある場合のアラームの種類と対処

咳や興奮、呼吸器の設定のミスマッチなどで人工呼吸器と対象者の呼吸が
合わない時は気道内圧が上昇します。
吸気圧上限(気道内圧上限、回路内圧上限、高気道内圧)アラームが
鳴ります。

咳の原因を除去します。
咳の原因には痰や血液などの貯留や、カニューレの刺激、唾液の流入などがあります。
原因をチェックし、吸引等を行います。
興奮している場合は、鎮静薬などで鎮静します。


◆ センサーチューブ(気道内圧チューブ)に水滴貯留

フローセンサーチューブや気道内圧モニター用チューブに水滴が溜まると、
センサーが正常に機能しないリスクが高くなります。
水分でセンサーチューブが閉塞すると、吸気圧下限アラームや吸気圧上限
アラーム等の誤作動の恐れがあります。
又、圧式の換気モードの場合は、適正な換気が維持されない恐れがあります。

水滴が混入しないように、センサーチューブの差込口を常に上にして、
設置します。
センサーチューブのコネクタ部分を確認し、ゆるみがないようにします。   
水滴が混入したら、速やかに抜きます。

上記以外にも、様々なトラブルがあります。特に加温加湿器に関する
ヒヤリ・ハット事例等が多いようです。

★上記の対処は在宅であれば主に看護師が実施します。
介護職員等の場合は、痰の吸引時などアラームの原因がはっきりしている場合を
除いて、患者さんの状態が悪化したり、
アラームが鳴り止まないなどの時は、すぐに医師や看護師などに連絡します。

※ 人工呼吸器の種類によりアラーム・トラブルの原因・対処などは
多少異なります。


◆ メ モ ◇ ~~~~~~~~~

加温加湿器に関するヒヤリ・ハット事例など
加温加湿器内に給水する時に、給水用ポートを使用せず、
ガスポート(呼吸回路のチューブを接続する部分)から給水しその後、
回路のチューブを再接続するのを忘れた事例が報告されています。
その他にも繰り返し報告されている事例では、ヒーターワイヤの外れ、
温度プローブの外れ、給水忘れ、電源の入れ忘れなどがあります。

気道内圧チューブ(気道内圧モニター用チューブ)について
人工呼吸器の種類によっては、気道内圧チューブを有している機種もあります。気道内圧チューブを利用して呼吸回路内の圧力を呼吸器本体に導いて、気道内圧
として測定する役割があります。

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続きはこちらです→ 人工呼吸器使用前のアラームのチェック方法





◇参考文献 
インターネット
医薬品医療機器情報提供ホームページ
人工呼吸器の取扱い時の注意について(その1)
http://www.pmda.go.jp/files/000143605.pdf
人工呼吸器の取扱い時の注意について(その2)
http://www.pmda.go.jp/files/000145062.pdf
人工呼吸器の取扱い時の注意について(その3)
http://www.pmda.go.jp/files/000144615.pdf
人工呼吸の安全セミナーテキスト p7~p8
http://www.pmda.go.jp/files/000144877.pdf#page=2
厚生労働省HP内
人工呼吸器呼吸回路における気道内圧モニター用チューブに係る添付文書の自主点検等について
www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1225-15a.pdf
喀痰吸引等を必要とする重度障害児・者等の障害及び支援に関する講義
緊急時の対応及び危険防止に関する講義 p36~p40
www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_
kaigo/shougaishahukushi/kaigosyokuin/dl/text_02.pdf

書籍
「介護職員等のための医療的ケア 喀痰吸引・経管栄養等の研修テキスト」
 公益財団法人日本訪問看護財団(編)p70 71
 人工呼吸ケアのすべてがわかる本」照林社 p34~p36
「気管吸引のガイドライン完全準拠わかる!できる!気管吸引あんしん教育ガイド」
 MCメディカ出版 p76~p78
「はじめて人工呼吸器」メディカ出版 p57~p61 
「実践できる在宅看護 技術ガイド」学研 p130~p132

開設日:2015/11/
リニューアル : 2017/08/19