熊野の神〜熊野三社 |
熊野神とは、和歌山県熊野地方の熊野本宮大社、熊野速玉神社 、熊野那智大社の3社に祀られる神霊のことである。
この3つの神社は一般に熊野三社、熊野三山、あるいは三熊野(ミクマノ)などと呼ばれている。 (なお全国には二千六百社の熊野神社があるとされる)
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誓約が破られると熊野神のお使いのカラスが三羽死に
破った本人は血へどを吐いて死に、地獄に堕ちる |
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熊野本宮大社 |
熊野那智大社 |
熊野速玉大社-新宮 |
熊野牛王とは、熊野三山で授与される神札で、「熊野権現のお使いの烏」(からす文字)と「宝珠」を組み合わせてデザインされ、社名などを表している。
「牛王」の由来は諸説あるが、牛の胆嚢から得る牛黄(ゴオウ)を印色(朱)として護符に用いたことによるとされる。 この「熊野午王」は 、本来は厄除け災難よけの「護符」だったが、その裏に起請(誓約)を書く「誓紙」として用いらるようになって世に知られるようになった。 即ち、熊野神を誓約の立会人とすることで有名になった。 起請(誓約)を破ると、熊野神の使いのカラスが三羽死に、破った本人は血へどを吐いて死に、地獄に堕ちるとされた。 |
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義経が頼朝に忠誠を誓ったり(吾妻鏡)、秀吉が重臣に息子秀頼に二心なきことを誓わせたり、赤穂浪士があだ討ちを誓ったのも、この熊野午王を誓紙にしてなされたとされる。
熊野牛王を用いた起請文は、権力者ばかりではなく広く民衆の間にも広まり、江戸時代には、遊女と客が取り交わす誓紙にまで使われた。 熊野牛王を灰にして飲んでも効果は変わらず「牛王を飲ます」といわれると、やましいことのある人は血を吐いて死ぬのが怖くて、飲む前に自白したほどだとされる。 |
熊野三社には対になった像はないが、熊野神の神使の「三本足の八咫烏」が境内の随所にみられる。
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「熊野那智大社」の境内 八咫烏に化身したとされる建角身命を祀る社(御県彦社)の前の像 昭和63年 神武天皇熊野御上陸二千六百五十年記念 |
「熊野本宮大社」の鳥居前
神紋の入った大幟 |
「熊野速玉大社」の神紋
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八咫烏(ヤタガラス)について
建角身命(タケツノノミコト)が八咫烏となって神武天皇を熊野から大和に導いたとされる。 八咫烏は古代の太陽信仰とも密接な関係があるといわれている。 |
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日本サッカー協会(JFA)のマークは「八咫烏」である。 熊野神話の八咫烏も加味した上で、太陽神話の三本足の烏をマークにしたとされる。 |
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八咫烏の「咫」は長さの単位で、それ一字では「あた」と読み、成人が手を広げた時の親指から中指までの長さをいう。 「八」は、大きい、多いという意味合いがあるので、八咫烏とは大きな烏という意味になる。 |
厳島神社<広島県佐伯郡宮島町/本殿の祭神:宗像三神(市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命)>の祭神が鎮座の場所を探して浦々を巡幸したが、このとき、先導の役を果たしたのが烏といわれている。 厳島神社(宮島)では烏は鹿と同じく「神の使い」とされている。 故事に因んで下記のような神事が行われている なお、近江(滋賀県)の多賀大社、名古屋の熱田神宮でも御烏喰神事が行われている。 |