〜サル(5)  山脇神社(山王神社)の猿
山脇神社(山王神社)
山脇神社の祭神は大山津美之神(オオヤマツミノカミ)で、「山の神」とも呼ばれる。
神社は「山王神社」「山王さん」とも称される。
棟札には、享保13(1728)年の墨痕が残る、こじんまりとした社である。
かつてこの山一帯で、深夜、山火事が発生した際、数百匹もの山猿が社を取り囲んで泣き叫び、里人に危急をしらせ集落への延焼を救った。
祭神大山津美之神(山の神=山王)の神使は猿とされる。
神使の猿に集落は救われた。
この故事に因んで祀られた150年以前に造られた猿の石像がご神体とされている。(拝見することは出来ない)
奥宮前の階段下の左右に一対の猿像が置かれている。
石の町、尾道に相応しい造りで弘化年間(1844〜46年)の作とされる。
拝殿の屋根の隅にも猿像(稚児様・写真左)があしらわれている。当初は屋根の四隅にあったが現在は2体になってしまった。

山脇神社では5月の第3土曜日に「山王祭」が夜店も並び賑やかに行われる。夏を告げる祭として、尾道ではこの日から浴衣を着る風習となっている。

神使の猿像 (上体をひねって正面を向く)大きな桃に腰掛けて
左像は御幣を持ち 右像は鈴と扇子を持つ〜軽妙な像 

この地では、大山祇神(オオヤマズミノカミ)は「山の神=山王」であることから、日吉大社の祭神、大山咋神(オオヤマクイノカミ)と同様に、その神使はサルとされたものと思われる。
関東地方では大山祇神の神使はオオカミとされている。

広島県尾道市東久保
JR山陽本線尾道駅から東方面行バス約8分防地口下車、徒歩約5分