河童〜カッパ(2) 若宮様の河童
伊予国(愛媛県)の高山城主、宇都宮正綱公(若宮様)の温情に感謝して、
お礼に鯛を毎朝届けた河童。
公を祀る若宮神社に一対の河童の石像がある。
  
若宮神社

土地の人が「エンコ様」と呼んで敬愛する、石造りの河童像が西予市明浜町高山の若宮神社にある。
この河童は、この神社の祭神、高山城主宇都宮修理太夫正綱公(若宮様)にまつわる伝説に基づくもので、明治に入って社祠を立替えた際に拝殿の左右に奉納され、若宮様を守っている。



近年奉納された「招福河童」
「正綱公(若宮様)と河童」伝説(要旨)
昔、正綱公が、夜道を帰城する途中のこと、何者かが背中に負ぶさってきて離れようとしない。
公が背のものを締め上げると、なんと河童が痛さのあまり泣きながら許しを乞うた。
心優しい正綱公は河童を許してやった。
翌朝から、正綱公の門前に毎朝鯛が置かれるようになった。
河童が許されたお礼に置いていったものと思われる。
ところが、ある日、家来が鯛を掛けるようにと「鹿の角」を門に縛りつけて置いたところ、それ以来、鯛は置かれなくなったという。
河童は鹿の角が大嫌いだったようである。
神社の前は、瀬戸内海である。この地方の河童は海に住み、鯛を獲るのかも知れない。
河童像


河童は三方を硝子格子で囲まれ拝殿前左右に置かれている。
左像は伝説に因んで鯛を抱え、右像は伸ばした右手に何やら持って座す。
頭頂は平らで、髪の毛は、いわゆる、おカッパ頭。
極めて人間っぽい河童石像。


      建立:明治14年(1881)
      奉納:宇都宮氏(姓)



           愛媛県西予市明浜町高山
 JR宇和島駅前から田之浜行きバス、「伊予銀行前」下車、徒歩5分。