東金の神使達<上>
先月中頃、狛犬メーリングリストに衝撃のニュースが駆けめぐった。
最古のサル発見の報である。
今まで、最も古いサルは久保田さん報告による浅間神社(埼玉県志木市上宗岡)の享和3年(1803)と言われていた。
また、山田さんからは「日本石仏辞典」庚申懇話会編(雄山閣)という本に「山梨県北都留郡上野原町の山王の小社の石段下にある石猿には享保16年(1731)と刻まれているとの情報も届いた。
しかし、今回の発見はそれらをはるかにしのぐ、1600年代なのだ!
これはスゴイ大発見!と言うことで、発見者の竹下さんに紹介していただくことにした。
また、その他にも江戸期建立4対を含む3種6対の神使たち(猿、牛、鹿)に出会うことが出来たとのことで、次号に「東金の神使たち<下>」と題して掲載予定。
最古のサル発見!
日吉神社は最澄が近江山王神社の分霊を鎮祭したのが始まりと言われ、後年徳川家康が鷹狩で御成りの際、再興させた古社。
その時植樹した杉が樹齢400年近くに達し、狭い参道を覆っている。
その参道が尽きると、拝殿の向拝の下に一対の正装した狛猿が鎮座している。

建立は元禄8年(1695)9月(背中に刻字)。
体長98cm。
正面を向き、片膝を立てて座り、首を90度内側に向け、互いを見合っている。
彫りが浅い為、近づかないと表情が解らないが、顔は猿と言うよりも人間の老人に近く、
向かって右側は結んだ口端を歪ませた哲学者風。
左側は力無く口を開けた漫才師風で吽阿型をとっている。
雨を防げる設置場所が幸いしてか、ほぼ完全な形だ。
東金市有形文化財。

       竹下克美 2004年44号