興味神使録 別館
もらい泣き 〜小野照崎神社の飛びきつね
月に下谷の七福神を廻った時の事である。
最初に元三島神社の寿老人、次はおそれ入谷の鬼子母神(真源寺)の福禄寿、そして次は英信寺の三面大黒と続き、今度はおたのみ下谷の毘沙門天(法昌寺)である。
ここを出ると向かいは小野照崎神社である。
七福神ではないが何となく招かれるように境内に入る。

ここには富士塚や庚申塔などがあり、隅には小さな稲荷神社(末社)がある。
ふと見ると椿の枝越しに涙を流したお狐様が目に留まった。
この涙はおそらく烏か鳩の糞の悪戯にちがいない。
これこそ予期せぬ感動の「もらい泣き」である。

私は近頃あまり感動の涙をこぼしてはいない。
なんだかこれを見て「もらい泣き」でもいいから感動の大泣きをしてみたい気分になった。

                             大津和弘 2002年 29号より

小野照崎神社(都内台東区下谷2-13)
飛びきつね
明治15年修成〜江戸期建立か?