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2000-へ
SHARP SD-SG40  僕らがオーディオと呼ぶもの
残念な事を書かなくてはならない。
この週末、僕は今まで僕がやって来た事って何だろう、そう思い始めている。
中古とは言え、相当なアンプ、スピーカー、CDシステム、ああでもない、こうでもない、と僕は「音」を手に入れる為に、多くのお金と時間をこの道楽に費やしてきた。しかし。僕の固定観念は一見ミニコンポとも思える小さなユニットシステムに、いとも簡単にブチ壊されてしまったのだ。。。

彼女の名はSD-SG40。SHARPのコンパクトオーディオシステムAuvi Excllenceシリーズの最新機。
ミニコンポであるAuviシリーズと違い、こちらは高品位アンプ、パーツ搭載のユニット単売モデルである。

SHARPはこの所、とても頑張っている。ポータブルMDからハイエンドプリメインまで1ビットデジタルアンプを導入し、古来のガチガチのオーディオマニア層を除く各方面でとても評価が高い。僕も前にAuviのミニコンポを聴いた事があるけど、ミニコンポとは思えない程の透明感、誇張感が少なくニュートラルな再現に舌を巻いた。それ以来「ミニコンポが欲しいんだけど」と相談された時には、僕はAuviを薦める事にしている。大抵
「ええ〜?SHARPう〜?」
って反応だけど。(笑) 実績無いからね。ブランドイメージも良くないかも。でもね、
「音を聴いてみて。とにかくお気に入りのCDを持っていって、他のと聴き比べてみて。」
僕の言葉にどうも納得行かない様子で電気屋に行った人は、大抵晴れ晴れとした顔で週明けに僕の所にやって来て
「やっぱり聴かないと駄目だねー。全然違うんだもん。有難う。いいもの薦めてくれて。」
と言うのだった。
あくまでミニコンポの話、である。2.8MビットまでのSHARPのアンプ、透明度、解像度は申し分ないのだが、やはりデジタル臭い音がするのは事実。オーディオという話になってくると、やはりエッジが立ったり、響きが足りなかったり、薄っぺらい音だったり、という事もあったのだ。B&W 805に繋がれた旧モデルからはそういった部分がやっぱり聴き取る事ができた。。。惜しいね、もう一歩なのにね。。。

「SG40は5.6Mエンジンで全く違うから、とりあえず一度聴いてみてよ。お気に入りのCD持ってさ。」
知り合いからのメールで僕はやっぱり、かなり考えた。ええ〜?SHARPう〜?(笑)
だって僕はレビンソンとDADP07ユーザーだって知ってるでしょ。ミニコンポならともかくオーディオの話で、あのちっこいCD・MD一体アンプなんて。。。でも。。。この人もMacintoshユーザーなんだよね。。。まあ、現在の最先端の音をちょこっと聴いとくのも悪くないか、そう思って僕は地元の電気店に行く事にしたのだった。思えばこれが運の尽き。。。
SG40の試聴はJBLだった。4312MK-U。いいスピーカーだよね。ニュートラルだし。試聴用には向いてるかも。比較対象は旧SG11とDENONのご立派なプリメイン。
まずはDENON。うーん、ま、こんなもんでしょ。(笑) 悪くは無いよ。十分いいと思うけど、決め手なんて物はないね。中庸。ウェルバランスで、なんでもいけそう。
次、SG11。。。これ凄い!一音一音が完全に分解してるし、DENONで感じた音の「団子感」なんて微塵も無い。恐ろしい程のSNだし、音離れは凄いスピードで、スカーン!と晴れ渡った秋空の様に爽快。この透明度と来たら。。。でもね、これはやっぱりデジタル臭いよ。エッジの硬さ、音の薄さ。。。これでクラシックは聴こうと思わないね。僕は。
最後に、SG40.。。。僕はぞわぞわと鳥肌が立った。SG11で感じたエッジの硬さや音の薄さは見事に無い。滑らかで、静かで、しかも驚愕の透明度、解像度。全ての楽器が見事に解像しながら、しかもバラバラにならない!スピーカーからは少し温度感の低めの、爽やかな風の様な音が試聴室の中に広がってゆく。定位も素晴らしいし、硬さ、キツさ、荒さ、なんて感じられず、低域から高域まで脅威の分解能を保ちながら音は十分に厚い。。。
「ハイエンドオーディオにね、疲れた人が良く買っていくよ。」
電気店のオーナーはニコニコと笑いながらそう言った。
「これ以上何が必要なんだろうね。数十万、数百万のアンプだってこれだけの音を出せる物はそうは無いよ。それを考えるとデジタルって本当に怖いよね。今まで何をやって来たんだろう、今までウンチクを並べ立てて、一体俺は何を売って来たんだろう、そんな感じだよ。」
オーナーは店の中に並べられたご立派なアンプ群を眺めながら、少し寂しそうに笑った。

今、僕は自宅のS-100Uから、SG40の奏でる凛とした透明な音を聴きながらこれを書いている。勿論、レビンソンやDADPがSG40に劣っているとは言わない。滑らかな音の繋がりや、3D的に展開する豊かな音場感、低域のパワーなど、はああ、とため息をつきそうになる瞬間がそこここにあるのも事実。
。。。でもね、信じられない事だけど、それと同じ土俵上で話が出来る、ちっちゃな機械が確かにここにあるのだよ。SHARPという電卓作りの得意なメーカーの作った機械がね。。。

勿論レビンソンのセットはS-100Uに戻すよ。近々HL-5復活だな。サブシステムとしてね。SG40にはこっちを担当してもらおう。風のいい晩に、窓を空け放して、癒し系のCDとかいいだろうね。。。

僕らが「オーディオ」と呼ぶもの。その存在と価値。そしてその未来。
「これ以上何が必要なんだろうね。。。」
オーナーの寂しげな呟きが耳に残って離れない。