むち打ち症
1.保険会社の見方
2.「外傷性頚部症候群の診断・治療ガイドラインの提案」
3.最高裁昭和63年4月21日判決
4.最高裁平成8年10月29日判決(首長判決)

1.保険会社の見方

○社団法人日本損害保険協会のホームページ

NHK「きょうの健康」で放送された東京厚生年金病院整形外科部長(放送当時)森健躬(もり たけみ)医師の話が掲載されています。

放送はかなり以前のようですが、損害保険会社は現在も基本的にこのように「むち打ち症」を理解していると考えてもよいのでしょう。


2.「外傷性頚部症候群の診断・治療ガイドラインの提案」

月刊“Orthopaedics(オルソペディクス)”1999年(平成11年)1月号は、「外傷性頚部症候群診療マニュアル―最新の知見から―」をテーマとして特集している。

その中で当該号の編集企画責任者であり脊椎・脊髄外科の権威とされている平林洌医師*は、「外傷性頚部症候群の診断・治療ガイドラインの提案」と題する論文を発表している。

*当時、慶應義塾看護短期大学学長及び慶應義塾大学医学部兼担教授(整形外科)。
★日本脊椎脊髄病学会元理事長。
自動車保険料率算定会(現損害保険料率算出機構)顧問医(1979年〜現在?)
★厚生労働省整形外科の障害認定に関する専門検討会委員(2001〜?)

以下、抜粋してみます。


診断名としては何が正しいか?

外傷性頚部症候群、頚(椎)部捻挫、頚(椎)部挫傷

「むち打ち損傷」という病名は、病態的に誤りであり、患者に過大な不安を与える点で不適当


■どのような症状が訴えられ、どのように分類されるか?

頚肩腕症状:後頭部、頚部、背部、上腕から手指にわたっての痛み、こり、しびれ、脱力や頚椎運動痛など。

バレ・リュー(B.-L.)症状:めまい、目のかすみ、耳鳴り、耳閉感、動悸、声のかすれ、頭重、嘔気、顔面紅潮、全身倦怠、物忘れ、集中困難、手足のしびれなど。

本症の三大症状: 頭痛、頚部痛、頚椎運動制限


<土屋の病型分類(1968)>

・捻挫型:後頭部、頚部、背部の痛み、こり

・神経根症型:上腕から手指のしびれ、痛み、脱力

・B.-L.型


<カナダ・ケベック報告の分類>

・T度(GradeT):頚部の痛み、こわばり、圧痛のみが主訴、客観的徴候がない

・U度(GradeU):頚部の主訴と筋・骨格徴候*(頭、顔面、後頭部、肩、腕への非特異的ひろがり)
                            *可動域の制限と圧痛を含む

・V度(GradeV):頚部の主訴と神経学的徴候*(神経学的症状・徴候を伴う可動制限)
                             *腱反射の減退または消失、脱力と感覚障害を含む

*すべてのGradeで出現しうる症状や障害には、耳が聞こえない、めまい、耳鳴り、頭痛、記憶喪失、嚥下障害、側頭下顎関節痛などを含む

どのような経過をとるか?

○頚椎の脱臼・骨折や頚髄損傷は、ここでいう外傷性頚部症候群には含まれないものとした場合、統計上、本症患者の7割は受傷3ヶ月以内に軽快・治癒する

通常、遅くとも6ヶ月以内には症状固定に至ると考えられており、6ヶ月を過ぎても尚、治療を続けている症例は慢性難治例とされる。
○慢性難治例の症状は、初診時以来、頚部痛、頭痛・頭重、B.-L.症状であることが多い。

診断と治療のすすめ

本症の審査にあたって、まず認識するべきことは、本症は、適正に治療さえすれば、「本来、良好な経過をとる疾患である」ということである。と同時に、本症には、大部分の症例に共通していても、中には例外的に共通しない部分がありうることも認識しておく必要がある。つまり稀に、理解困難な難治例も存在しうる。


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