逸 失 利 益

後遺障害又は死亡に至った場合、全ての損害費目の中で「逸失利益」が一番大きい金額になることが多いと言えましょう。重要ポイントになりますので、特に重点的に力を入れるべきところです。

逸失利益は、「得(う)べかりし利益」とも言い、事故がなければ得られたであろう利益です。次の実務上確立した計算式で金額を算定します。損害の立証責任は被害者にあるのですが、このような将来のしかも超長期に及ぶ逸失利益額の立証・算定は極めて困難ですから、このような定型化が図られ、簡易迅速な算定を可能にしています。あくまでも不確かな未来を推計するものですから、いくつかの仮定の上に仮定を重ねて成り立つものです。


後遺障害による逸失利益額は 収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、この3要素で決まります。それぞれに選択ないし裁量の余地がありえます。保険会社はできるだけ少なくなるよう色んな理由付けを用意していますから、被害者の方もできるだけ有利になる理由付け・根拠・証拠資料を準備する必要があります。

労働能力喪失率は、一定程度以上の複数の障害があって併合により繰上げ等級になる場合を除けば、おおよそ機械的に次の「労働能力喪失率表」に当てはめて適用される傾向があります。したがって、後遺障害の認定等級に納得できない場合、異議の申立を行って、あるべき等級に変更してもらっておく必要があります。



後遺障害による逸失利益

年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数


  労働能力喪失率表(労働基準局長通牒 昭和32年7月2日基発第551号による)
障害等級 労働能力喪失率 障害等級 労働能力喪失率
第1級 100/100 第8級  45/100
第2級 100/100 第9級  35/100
第3級 100/100 第10級  27/100
第4級  92/100 第11級  20/100
第5級  79/100 第12級  14/100
第6級  67/100 第13級   9/100
第7級  56/100 第14級   5/100



労働能力喪失期間

【原則】
症状固定年齢から稼働可能期間の終期年齢とされている67歳までの期間

(例) 症状固定時30歳、労働能力喪失期間は67歳−30歳=37年間

【例外(年少者)】
通常、稼働可能期間の始期年齢とされている高校卒業年齢の18歳から67歳までの49年間
ただし、大学にいく蓋然性が立証できれば、大学卒業年齢の22歳から67歳までの45年間

【例外(高齢者)】
症状固定年齢の平均余命の1/2か、67歳までの期間のどちらか長い方

(例) 症状固定時60歳・男。平均余命は21.93年(厚生労働省大臣官房統計情報部編『平成14年簡易生命表」より)。その1/2は約11年。67歳までは6年。長い方の11年。

ライプニッツ係数表(年利5%)

労働能力喪失期間(年数) 1年 2年 3年 4年 5年 10年 15年 20年 30年 40年 49年
ライプニッツ係数 0.952 1.859 2.723 3.546 4.329 7.722 10.380 12.462 15.372 17.159 18.169


死亡による逸失利益

=年収×(1−生活費控除率)×就労可能期間に対応する中間利息控除係数

死亡の場合、労働能力喪失率は100/100=1
死亡の場合、生活費が要らなくなるので損益相殺として損害から控除する。
就労可能期間=労働能力喪失期間


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