東日本大震災関係の各団体要望など

障がい者政策PT・難病対策WT合同会議(3月29日民主党)PDF


東北関東大震災特別援助助成法に盛り込むべき項目・内容等

 

JDF(日本障害フォーラム)

 

1.当面緊急とされる法的整備

@バリアフリー仮設住宅の設置義務化。将来的にはすべての仮設住宅をユニバーサルデ ザインにすることを前提とした立法措置

A遠隔地避難をする障害者の移動手段や必要な医療の確保並びに、遠隔地避難をしている障害者への生活支援(ホテル費用支援)

B避難を支援する担当者や避難所のスタッフ、ボランティアに、被災障害者等の支援に関する周知、説明や研修の機会の設置

C被災地域に在住する、あるいは遠隔避難している人工呼吸器使用者へのインバーターつき小型発電機と予備バッテリー(人工呼吸器と発電機をつなぐ必須のもの)の優先貸与

 D情報・コミュニケーション保障

・災害情報、避難情報、記者会見・ニュース・関連番組などの手話・字幕付与・音声解説の完全実施のための指導・補助、並びに、これらの情報のインターネットによるデータ配信の実施に向けた取り組みの規定

・政府機関の災害関連インターネット動画への手話・字幕付与・音声解説の完全実施への指導・補助

・政府機関のホームページでの各省庁の通達や災害情報等のPDF版や一覧表等をテキストデータ化したものの掲載の徹底

・被災地、或いは遠隔地の避難所における情報保障に関し、文字表示と音声による情報保障、その他当該障害者にとって適切な方法による情報保障のための補助等

 E日常薬等の確保に関する措置

・精神障害者をはじめ、日常薬を必要とする障害者・患者への弾力的な対応(向精神薬の給付の弾力的運用等)、オストメイトへのストーマ装具の配布等

 

2.災害復興に関する費用の国庫補助

・被災した区域に設置されている自立支援法に基づく福祉施設〔4分の4

対象施設;訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護、行動援護、同行援護、移動支援等)、施設入所支援、グループホーム、ケアホーム、小規模作業所等

 

3.障害者自立支援法に関する特例等

@自己負担関連

・被災した地域に居住する障害者の介護給付の自己負担免除

・被災した地域に居住する障害者の訓練等給付の自己負担免除

・被災した地域に居住する障害者の自立支援医療の自己負担免除

・被災した地域に居住する障害者の補装具の自己負担免除

・被災した地域に居住する障害者の地域生活支援事業の自己負担免除

A報酬・サービス関連

・障害者自立支援法における作業所等の公費収入について、時限的に日額制度を月額制度に変更

・震災によって環境因子が変動したことに対応して訪問系等のサービスの支給量を適切に見直す措置、および、その増分を10分の10で国庫負担とする措置

・地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業、移動支援事業等に関し、被災障害者は避難地自治体における当該事業の利用者として当該地域の障害者と同等なサービス受給を可能にするための措置

・サービス区分(身体介護、家事援助、重度訪問、行動援護、同行援護等)と報酬単価の暫定的な一本化(従来の介助支給量及びサービス区分では事務的に非常に煩雑であり、現場においてサービス提供に困難なケースが多数生じているため)。介助者についても資格の有無にかかわらない柔軟な対応を可能にするための措置

 

2011年3月29日

 

日本難病・疾病団体協議会(JPA)

代 表  伊 藤 た

NPO)難病のこども支援全国ネットワーク

                             専務理事 小 林 信 秋

                         

 

 

東日本大震災およびその後の災害における要援護者(高齢者、障害者、

難病・長期慢性・小児慢性疾患患者、妊婦、乳幼児等)への対応についての

緊 急 要 望 書

 

 平素より難病・長期慢性疾患患者へのご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 震災から半月が経過いたしました。国をあげての支援策も、初期対応(安否確認、被災地からの避難、急性期医療)から、避難所における支援や医薬品を含む物資の供給や、復興にむけての支援など新たな段階に入ってきています。私たち患者団体も、私たちの立場からできることを積極的に行っております。

障害者対策、難病・慢性疾患対策は、特別な分野の対策ではなく、国民全体への医療、介護、福祉の充実対策であるとの認識にたって、難病・長期慢性疾患患者、障害者など配慮を必要とする人たちへの対策を、中長期的な対応もふくめて、次の点を考慮してすすめていただきたく、要望いたします。

 

[記]

 

〔実態把握〕

1.被災地および被災地以外の避難所に、要支援の難病・長期慢性疾患患者が残されていないか、実態把握を、自治体や地域の患者団体とともに早急に行うこと。

 

〔医薬品の供給、専門医療機関による診療体制の確保、患者への情報発信〕

2.医薬品の供給について、国は医薬品ごとの供給状況を掌握し、国民に適切に公表すること。とくに希少難病患者の使用する薬剤は地域でのストックが極めて少なく、医療機関にとっては手配が出来ないこともあります。疾病によっては一日も欠かすことの出来ない医薬品もあり、希少疾患の医薬品の供給状況の掌握、患者への適切な周知、避難所の実情にあわせてボランティアによる特別なルートの開拓など、すばやい手配が可能にすること。個々の医薬品について生産工場が生産能力を失った場合、速やかに他の企業による生産ルートを開くか、海外からの緊急輸入などを行えるようにすること。今後、生命にかかわる医薬品の生産は、国内での分散生産とするよう指導すること。

 

3.難病・長期慢性疾患の疾患ごとの専門医療機関の状況、被災地での医療確保、被災地以外での患者の受入体制を掌握し、患者への正確な情報を適切に発信すること。ホームページや広報などへの掲載だけでなく、テレビやラジオで相談窓口などの情報を流すなど、患者や家族に情報を届けることを積極的に行うこと。

 

〔避難所における対応〕

4.避難先から医療機関、またはより安全な場所への移動に係る費用や燃料の支給、住宅や介護支援者の確保などの支援を行うこと。避難所から医療機関に通う必要のある患者については、人工透析患者もふくめて災害救助法の医療給付の対象とできることを周知し、その費用を患者が負担しなくてもよいようにすること。また、入院中の医療機関から他の医療機関に通う場合の診療報酬の減額規定を解除すること。

 

5.避難所で長期間生活せざるをえないことを念頭において、難病や長期慢性疾患をもつ人たちについて、その疾患の特性をふまえた配慮を行うこと。疾病の特性に応じた配慮が必要な患者への対処法について、患者会のチラシや相談窓口の掲示などを積極的に行うこと。避難所にいる難病・小児慢性疾患の子どもたちへの心のケアを行うこと。

 

6.被災地で在宅にいる患者・家族への声かけや、支援物資の十分な配給を行うこと。また、避難施設を患者や高齢者、障害者が利用できるようバリアフリー環境の整備と生活支援を行うこと。都道府県の難病相談・支援センター間の連携体制をとり、被災地から他の都道府県に移動する際のコーディネートが行えるようにすること。

 

〔地域の医療体制等の整備〕

7.地域の医療提供体制の整備を最優先させ、人的体制の確保、緊急発電用の重油の確保、在宅の人工呼吸器、酸素、吸引器使用患者への電力の確保、酸素ボンベの確保を優先的に行うこと。被災地以外の医療提供体制を確保するとともに、計画停電への対策についても、医療機関での電力の優先供給を実施すること。

 

8.今後災害時においては、各県の「危機管理室」に難病・長期慢性疾患患者、障害者、高齢者、乳幼児、妊産婦など要援護者リストの作成・常備し、支援が必要な人を掌握できる体制を構築すること。市町村の「危機管理室」と連携を密にするとともに、医療・保健・福祉関係部局とのネットワークを確立し、支援体制を構築すること。

 

以上


災害特別立法への意見書

民主党 御中

障害者自立支援法違憲訴訟団

  2011年3月29日

 

  このたびの東北地方太平洋沖地震において、被災された市民の命と生活を守り、未曾有の事態を乗り切るべく、政府、与野党、自治体、民間、関係者が日夜ご奮闘、ご尽力されていることに心より敬意を表し、感謝申し上げます。 

  初めて立ち向かう事態に誰しも困惑しながら最善を尽くしており、完全な対応はあり得ませんので、この事態、経験を活かして、さらに誰でも安心して暮らすことのできる社会の構築に向けてみんなで知恵と力を合わせるべきときと思います。 

 

一 災害「弱者」に対する特別な支援を意識した法制度へ

  私たち訴訟団(原告団・弁護団)は、障害に起因する社会的困難は個人が負うものではなく社会全体で支えるべきであるとの考えをもとに運動してきました。今回の災害にあたってもその困難は当然社会全体で分かち合うべきと考えています。

  被害は当該地域のすべてにもたらされました。

しかしながら、その中で、どうしても救助・支援から「取り残される」障害者・高齢者・乳幼児・妊婦・患者等の「災害弱者」に対する支援は、法律の中で関係者が法的根拠に基づき意識的な取り組みを行うことが必要と考えます。

実際、移動に、車いす、支援者の介助・支援が不可欠な障害者の場合、災害から逃げ遅れて犠牲になった人々の率が高いことは容易に推察されます。

災害発生後の急性期において、支援物資が届かないという声が多数ありましたが、救援物資の配布を受けるための外出も支援者なしで行くことのできない障害者にとって、健康な方に比べて救援を受けること自体が困難な状況に置かれることが多いことは、現実に発生していた事態です。

   また、高齢者・障害者に限らず、「情報」取得が不足することによる様々な困難、支障が報じられましたが、テレビや携帯電話の画面や文字情報の入らない視覚障害者、ラジオ・電話・人の音声による情報の入らない聴覚障害者、抽象概念の理解が困難な知的障害者等、災害における情報保障は、これらの人々に関しては特に意識的な支援が必要であり、法により明記されるべき事項です。


二 各論

1 コミュニケーション障害のある人への情報保障の徹底

 津波・地震・停電・救援・避難方法・救援物資の配布・家族の安否・行政情報等、災害時に情報が行き届かないことによる支援の欠如、孤立を防ぐ必要があります。

緊急時に避難所で手話通訳体制が十分ない場合、紙の掲示による情報告知を徹底し、紙とペンによる筆談、携帯電話や携帯パソコン等での画面を利用したコミュニケーションを図るなど、可能な支援はあります。

テレビでの情報は重要な手段ですので、政府の会見等の手話通訳、文字情報の提供を法定化することはもとより、コミュニケーション障害者に対する、災害情報周知が行き渡らないことはそれ自体人権侵害のおそれがあることを公共放送事業者が認識できるよう、コミュニケーション支援の保障の徹底を法制化してください。

 

2 在宅障害者被災者支援方法の構築

 現在の障害者改革の方向は、入所施設での入所・入院生活から地域での在宅生活です。

 しかしながら、一か所に集まっている入所施設での被災者への対応に比べ、地域に点在する大勢の障害者への支援には、困難があります。

 まず、どこに障害者が暮らしているのかの基礎情報の把握からして困難です。

 そこで、訪問系福祉施策の利用をしている市民の個人情報の集約について、個人のプライバシーの尊重の精神を基本としながらも、災害時の救援体制の基盤整備の必要性に関する啓発活動を促進することを前提に、災害救助・支援に関しては個人情報保護の免責条項等を作って、地域で暮らす障害者の住所・氏名・必要な支援の内容等の情報整備が円滑に進むような法改正を検討するべきと考えます。さらに、それらの基本情報をもとにして、自治体横断的な地域生活に対する災害支援制度が必要です。

 激甚災害は特定の自治体に対して根こそぎ被害を与えますから、当該自治体だけの自主努力では限界があり、国と都道府県が、地域を超えた横断的な体制で、支援を構築する必要があります。

 たとえば、災害にあたっては、他の都道府県での指定・許認可を受けている事業所による被災地域に対する出張支援を法的に認め、その活動を積極展開するための報酬付与を公的に保障する仕組みが必要です。

 

3 知的・発達障害者・精神障害者への配慮義務

 自閉症、広汎性発達障害等の発達障害児者、精神障害者にとって、避難所での集団生活を送ることは困難が伴います。

 災害におけるただならぬ雰囲気に影響されて興奮状態に陥ったり、こだわり行動により、避難所での他の避難者との間でのトラブルの発生も心配で、避難所生活はとても自信がないことから家族が孤立する事態も聞き及びます。

 限られた避難所資源の中で限界はありますが、個別支援の必要な人を行政も把握し、避難所での配慮、被災者同士での助け合いも円滑に進むように、配慮規定を設けるべきでしょう。

避難所に行き難い精神障害者は、自宅で閉じこもり孤立するケースがあります。薬品の不足による症状の悪化も心配されます。在宅での被災障害者の支援が行き届くよう、災害の場合のこれらの特性の障害者への支援を意識した救援法制が早急に必要と考えます。

 

三 停電のもたらす人権問題

1 人工呼吸器等を利用する重度障害者、患者にとって「電気供給を受ける権利」が人権であることの確認の法制化。

 東京電力の福島第一原子力発電所の原発事故の影響により、東電により、「計画停電」の実施が打ち出され、政府も直ちに了解されました。

 原発停止状況等における大幅な供給不足の事態において計画停電の実施の可能性があること自体は避けられません。

 しかしながら、今回の実施は事前に準備の余裕もできないほど、あまりにも唐突であり、人工呼吸器により生命を維持しているALS等の障害者にとって、停電は突然の生命停止に直結し兼ねない危険に他ならず、生命権・生存権が危殆にさらされました。計画停電を政府が了解するにあたり、停電により、人工呼吸器装着障害者の生命に危険が発生することへ危険性、対処について、どれだけの議論があったのでしょうか。数時間で決定した経過からはおそらく、そのような検討はなされなかったのではないでしょうか。

 計画停電に関連して、厚生労働省から注意喚起を促す通知等を出すなどの厚生労働省の対応を一定評価しますが、これらは本来、一片の役所の通知レベルの問題ではありません。

 結果として大きな事故は報道されていませんが、訴訟団事務局にも、ALS障害者家族から

とうとう停電が来ました。目の回る忙しさをぬって、車のバッテリーを買ってきてつないだのですが、12Vを100Vに変換するインバーターのプラスとマイナスを逆につなぎ、一瞬にして壊してしまいました。茫然自失です。幸いにして、以前に買っておいた低レベルのインバーターにつなぎ替えたのですが、電気の質が悪く、呼吸器はもちろんのこと、吸引器にもつなぐ勇気がありません。つないで故障したとの情報が回ってきているのです。 
 なんとか、持続吸引とバッテリー式吸引器とアラーム(これが意外に重要)、最後は卓上蛍光灯を稼働して、乗り切りました。

 など、必死に非常事態を凌いでいる状況が報告されています。

 「東電は、停電のときは病院に行けというが、電源の確保を理由とした入院など受け入れてくれません。行政のいう指定病院など本人がいくのに往復3時間。3時間の停電のためにいけるわけがありません。

  今回の対応のための代替電源の購入等で著しい出費です。 小型自家発電機(10万)、自動車用バッテリー(2万)、発電機用のガスボンベ(1個500円×100個=5万円)、充電池(3万円)、インバーター(3万)、万一の場合のアンビューバック(2万)等々  30万円くらいはかかっています。東電か国が補償するべきではないでしょうか。」

いままで事故が聞こえて来ないのは各人の自己防衛による紙一重の結果というべきです。人工呼吸器等を利用する重度障害者、患者にとって「電気供給を受ける権利」は憲法第25条の生存権等に基づく人権であることの確認の法制化が必要です。

 そうであれば、少なくとも計画停電実施前に、障害福祉所管部署等を通じて障害者団体への情報提供が24時間以上前に行われることを法的な義務とするべきと思われます。そして、電気供給がなくなる以上、小型自家発電機、自動車用バッテリー、発電機用のガスボンベ、充電池、インバーター等の代替電源策の確保、万一の場合のアンビューバック(手動式呼吸器)費用等も電気供給事業者及び国・地方公共団体の法的義務として、法定化するべきですし、障害者、患者がそのための支出を強いられた場合の補償条項も必要です。

 東京電力等の電気事業者は、電気事業法第3条に基づき経済産業省の許可を得て、市民の生命維持に直結する事業を行っているものであって、市場での一民間事業者ではありません。

 今回の特別立法はもとより、電気事業法第1条の目的条項やその他の条項、総合福祉法、災害救助基本法等に、それらのことを明記するべきです。

 

2 「被災者」概念の範囲の拡大

生命維持に不可欠な薬が「要冷蔵」である疾患も多数あります。体温が外気温に影響されやすく、真夏日にクーラーがないと体温が38に上昇するような疾患もあります。計画停電は数年単位で行われる可能性があるとも言われており、特に夏場になれば、冷房・冷蔵庫が停止すると生きられない者も出てくる可能性があります。東京電力管内から、遠方へ避難・移住する者も予想されます。しかし、行政は災害救助における「被災地」は東北地方及び原発周辺地域を想定し、「計画停電管内にいる者」というだけで、「被災者」としての救援・補償の対象としない見通しです。

従いまして、上記のような事情のある障害者、慢性疾患者が「被災者」の概念に該たり、救済の対象となるとする法令の改正等をぜひ実現していただきたい。

四 原発被災者、被災障害者が首都圏等で地域生活を送るための特別支援制度を

 いまなお続いている深刻な原発事故により、避難を余儀なくされているみなさんの生活を成り立たせることが重要であり、国策として遂行されてきた電気事業である以上、それは国の人権保障としての義務・責任です。

 原発周辺地域のみなさんの状況は日に日に悪化する一方であり、長期的視点での抜本的対策が不可欠です。

 原発事故地周辺地域から、首都圏等全国に移住して地域生活を営むことが出来るため、公営住宅の優先貸し出し、賃貸家屋、アパート、マンション等の家賃の数年分の公的保障、数年分の当事者の所得保障も法制化するべきと考えます。

以上