<雑感> 1.弁護士に必要な能力
弁護士というと弁が立つように思われるかも知れません。もちろん弁
論能力も必要ですが、弁護士として必要な能力の一つに法的な結論を予
測する能力があるものと思います。紛争は単純ではない場合が多いと言
えます。この様にすれば、このような結果が得られ、その結果次にどう
いう問題が発生するかを予想できなければ、まずどうすべきかの結論は
得られません。簡単な例で言えば、被告として金銭を請求されている事
件で、和解すれば300万円程度で済むが、判決となりれば500万円
程度となってしまうとの結論となれば、和解を選択すべきこととなりま
す。
この様な意味で、弁護士は法的な「予想屋」ないし「予報士」と言え
ます。
2.「無理筋」の主張
以前私の事務所で司法修習生として実務の研修に来たX君は、研修終
了後の群馬弁護士会会報に「…先生からは色々なことを学びましたが、
特に印象に残っているのは、的はずれで無謀な主張は絶対にしないとい
うことです。民事裁判修習で修習していると、結構そういった無謀で筋
の悪い書面に出くわすことがありました。おそらく、依頼者に迎合する
あまり、そういった書面になるのでしょう。依頼者に対して迎合しすぎ
ない先生の姿勢や書面は、とても勉強になりました。また、弁護修習中
ある裁判官の方に『君は、いい先生に付きましたね。』と言う言葉をい
ただいたのを覚えています。…」と感想を載せました(群馬弁護士会会
報21年秋号から引用)。X君のお世辞もあるのでしょうが、無理な主
張をしないことで裁判所からは受けがよいようです。
無理な主張をすることは紛争をいたずらに混乱させ、長期化させるだ
けでなく、本来認められるべき主張も認められにくくなってしまいます
。ただし、安易に無理な主張だと判断すべきではなく、法的知識・経験
などをフル稼働させて頑張るべきところはきちんと主張することが大切
です。このへんの判断が、まさに法律のプロとしての弁護士に求められ
ていることだとも考えます。 |