基調提案 


 生活と総合で潤いと元気を!
 〜環境との出会いを通して、自ら探究する子どもの育成〜


【大会テーマについて】
 21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われています。このような「知識基盤社会」の時代を担う子どもたちに求められているのは、「生きる力」です。確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことがますます重要になっています。
 今回の改訂では、生活科も総合的な学習の時間も、他の教科にはない指導ができる教科としての役割が確認されました。単純に数値として評価しない教科の特性や、問題解決能力を高めるための授業形態、枠にとらわれない指導ができる特色があります。このような学習を通して、子どもは「生きる力」を身に付けていくと考えます。「生きる力」の原動力になるものとして、子どもの豊かな人間関係と学ぶ意欲が必要不可欠です。
 このことを踏まえて、生活科と総合的な学習の時間で、子どもの豊かな人間関係と学ぶ意欲を育てていきます。そこで、今回の大会テーマとして「生活と総合で潤いと元気を!」を位置付けました。
 潤いとは、豊かな人間関係の中で学んでいる子どもの姿です。生活科と総合的な学習の時間では、自ら学ぶ、協力して学ぶ、社会の中で学ぶことで目標を達成します。自ら学ぶ、協力して学ぶ、社会の中で学ぶためには、潤いのある人と人とのかかわり合いが大切です。潤いがあるからこそ、学習対象に知的な面で、情意的な面でかかわり合うことができます。そこでは、豊かな人間関係を築きながら、環境に対する豊かな感性を養ったり、実生活や実社会における課題や今日的な課題を解決したりします。こうした学習を通して、子どもは自己の成長を実感し、豊かな人間性をはぐくみます。
 元気とは、学ぶ意欲が表出している子どもの姿です。学ぶ意欲が表出するためには、学習対象に知的な面と情意的な面の両面でかかわり合うことが大切です。生活科も総合的な学習の時間も子どもは学習対象への興味・関心を基にして学び始めます。子どもは自分と学習対象がかかわり合うことで、学びが連続し、学ぶ価値を実感します。子どもが学ぶ価値を実感する学習を通して、子どもの学ぶ意欲を育てます。こうしたことを実現していくために、教師には「一人一人の子どもに目を掛け、落ち着いた環境の中で生き生きとした表情の子どもを育てる」授業が求められます。こうした授業は、「生きる力」の具現化になります。生活科と総合的な学習の時間の授業で、「生きる力」の具現化を果たそうとする教師はますます元気になります。
 環境との出会いとは、身近な人・自然・社会との出会いです。生活科と総合的な学習の時間は、身近な人・自然・社会とかかわる中で、学習の充実が図られていきます。学習の充実を図るために、身近な人・自然・社会の教材化が必要です。身近な人とかかわることで、先輩から学ぶことができます。これは、生涯に渡る学習者としての基礎を養うことになります。また、身近な自然とかかわることで、自然の不思議さや生命の尊さを実感することができます。最後に、身近な社会とかかわることで、地域の仕組みや、そこで生活する人の願いにふれることができます。地域の一員として、期待されていることに気付き、それに応えようとする態度を養うことができます。
 自ら探究する子どもとは、主体的に学び続ける子どもです。主体的に学び続ける子どもは、自らの問いが連続していき、解決へ向かっていきます。生活科では具体的な活動や体験を通して、思いや願いの実現への活動になります。思いや願いの実現の過程で、気付きの質を高めることが大切になります。総合的な学習の時間では横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して、地域や学校、児童の実態に応じて、創意工夫を生かした活動になります。学習過程を探究的にすることは、@【課題の設定】体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ、A【情報の収集】必要な情報を取り出したり収集したりする、B【整理・分析】収集した情報を、整理したり分析したりして思考する、C【まとめ・表現】気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現することで、物事の本質を探って見極めようとすることです。
 本大会の課題別分科会テーマは、新学習指導要領における改訂のポイントです。改訂のポイントであるということは、今日的課題として認知され、各学校で実践課題として研究が始まっているところです。そこで生活科では、@スタートカリキュラム、A気付きの質を高める学び、B自然や物を使った遊び、C情報と交流を、総合的な学習の時間では、@生活・総合の学びのプロセス、A教師の役割、B探究的な学び、C協同的な学びを大会テーマにせまるための研究として提案します。そして、会場校のさいたま市立春野小学校とさいたま市立辻南小学校でも、今までの研究を踏まえながら、改訂のポイントから研究の視点を見出し、大会テーマにせまるための会場校の研究として提案します。

【大会テーマにせまるための会場校の研究】
◎さいたま市立春野小学校の研究
環境を考え、発信・行動できる子どもの育成
〜多目的遊水池から全国へ(地域に学ぶ潤いのある学校)〜

◎さいたま市立辻南小学校の研究
環境について自ら考え、表現し、進んで行動できる子どもの育成

〜身近な環境を生かし、学校から地域へ広がる環境教育の工夫〜


トップ アイコントップページへもどる

直線上に配置