寺井師匠の生演奏ですが、フラナガニアトリオではまず聴くことができません。というのは、トリオの演奏の多くがハードなバップチューンだからです。
師匠コメント |
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かくれた渋い佳曲も演ってますよ。 |
しかしデュオの日に新入生がライブへ行って、テレパシーで「Another You が聴きたいなー」と念じていれば、演奏して頂けるかもしれません。リクエストは受け付けていませんが、ラッキーにも演奏を聴くことができた時は「★◎*☆!!」こんな感じになります!
師匠コメント |
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(火)(水)に来れば、演ってあげます。 |
昔この曲を練習したときは、イントロを考える余裕もなく、いきなり「いっせいのーでっ」という感じで、テーマから演奏を開始していました・・・。
数年後に再びレッスンでこの曲を見ていただきましたが、そのとき初めて8小節のイントロを考えました!フラナガン大師匠やパウエルのイントロは特殊なので、まず「基本のコード進行でシンプルなフレーズを考えて、強弱やフレーズの流れを狙って演奏するように」と教えていただきました。
師匠コメント |
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今は軽くできるでしょ。 |
レッスンのときいただくテーマの譜面には歌詞が書いてあります。その言葉の意味を考えながら、歌うようなフレーズを弾くように指導を受けました。「鍵盤を押さえつけず、力を抜いてスイングする」と、いつもレッスンで注意されますが、まさにそんな感じで弾けたら最高ですよね!
師匠コメント |
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ヒット・ポンイトは、もう判ったと思う。 |
レッスンでは、最初の1コーラスのアドリブは、お手本の譜面がありますが、このフレーズは緻密に考えられていて、「すごいなー」と感心してしまいます。ディグリーをふって、何の音を狙っているのか、どこからどこまでが1つのフレーズなのか、一息感、強弱、出し入れなど考えると、本当に盛りだくさんの練習が隠されていることに気がつくと思います。
昔初めて弾いた頃は、全くその意味がわかりませんでしたが(とにかく間違えずに弾くことばかり気にしていたので)。譜面講座などでいろいろと教えて頂いて、最近やっと「おっ、あっ!」てな感じで、頭に「☆☆☆」が飛び交っています。(かなり遅い反応です・・・)
師匠コメント |
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意味が判ればOK。 |
さてアドリブで悩ましいのが、2コーラス目以降。ここからは自分で考えたフレーズを弾くことになりますが、皆さんはどうやって考えましたか?アタシは、オイゲン・キケロのようなクラシカルなフレーズ、バップのフレーズからは程遠いダサイダサイ・オリジナル・フレーズを創作して考えました。
レッスンでは寺井師匠の「目が点」を通り超えて「怒り→あきれ→苦笑い」となっていらっしゃいました。それでも「忍耐」であんなフレーズを我慢して毎週毎週・・・何ヶ月も聴いていただいたのでした。背筋が寒くなります。
どうやら、よほどの天才でもない限り、凄いアドリブを考える近道はないんとちゃうかなぁと思います。「多くの良い演奏を聴いて、自分の好きなフレーズを地道にコツコツと譜面に書いて弾くしかない」と。寺井師匠がいつもおっしゃっていますよね!
師匠コメント |
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誰も最初からは、かっこよく書けない。 |
逆循環で入って平行移動のコード進行で演奏されることが多いです。私はフラナガン大師匠の『You’re Me』のヴァージョンがお気に入りです。ジャム・セッションでは、最後の29〜30小節目を半音上げて繰り返して元に戻すことが結構ありますが、あれは誰か有名な人がやったパターンなんでしょうか?
師匠コメント |
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そうです。ワシは好きではない。 |
フラナガン大師匠の『You’re Me』。これは本当に凄いです。レッド・ミッチェル(b)とのデュオで、キーはG△です。テンポは速いし、すごく難しいフレーズを楽々と上品に弾いてらっしゃるのが印象的です。一番大好きなヴァージョンです。スピード感とスリルと軽やかさと爽快感があって、ふわっと心が浮きあがります。うっ血していた身体中の血液がサーーッと流れるような感じ?です。とにかく楽しい!
師匠コメント |
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ワシも一番好き。 |
バド・パウエルの演奏は『Strictly Powell』と『A Portrait Of Thelnious』に収録されています。音質は悪いのですが、バップ・フレーズが満載で、ヒャー、ヒャーと圧倒されてしまいます。アドリブにディグリーをふると、サクッと心をえぐるフレーズの意味が判るかも♪あっ、いえいえアタシはまだまだ、正直パウエルの深さはわかってないんです。パウエルはやっぱり難しいです。一言では言えない凄い凄いフレーズの連続で、すべてにバップがほとばしっている、としか表現のしようがありません。
師匠コメント |
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これもいい! |
上述の演奏はとにかく最高。細かいことは書けません。百聞は一見に・・・ということで、まずは聴いてみてください! それ以外に聴いたCDをご紹介します。あくまで個人的な感想です。
ホワイト・パウエルことクロード・ウィリアムソンの演奏は『Song For My Father』に収録されています。フラナガン大師匠を知る以前は、ビル・エバンス、バリー・ハリスとクロード・ウィリアムソンとジュニア・マンスとヤン様、時々レイ・ブライアントが好きでした。けど、その頃は全く気が付かなかったんです。パウエル講座のあと、久しぶりにクロード・ウィリアムソンのCDを何枚か聴いて、あっ、なるほど!!と再発見の連続でした。アドリブのアイデアやスィング感やノリが最高で楽しい演奏の連続です。
さてこの曲ですが、イントロがガレスピーの「Woody’n You」で、無茶苦茶ドラマチックに演奏が始まります。こういう方法があったんかぁと驚きました。スピード感があって、実際テンポが速いんですけど、あっという間にテーマが終わります。テーマの右手なんですけど「てやんでぇ、べらぼうめっ」と江戸っ子みたいな訛りを感じるのは私だけでしょうか?
最後の32小節目は通常E♭△で解決するんですけど、ここではB♭ペダルにいきます。ワクワクしますね。この先どうなるんかなって。そういう期待感を膨らます演奏です。アドリブは、あのトレトレピチピチがチラリと入りますし、跳躍感のあるフレーズ、韻の踏んだフレーズ、ベースへまわすフレーズは、上にもっていくんですけど、なんかニクイです。エンディングも「Woody’n You」で、一本筋の通った演奏です!フラナガン大師匠、パウエルの2枚の次に好きなヴァージョンです。
師匠コメント |
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クロード・ウィリアムソン、昔は好感を持ってたけど、これはダメ。ヘタになったもんです。 イントロからテーマ、ピアノのアドリブと、つっこんだり、もたついたり、ベース・ソロのバッキングもずれる。 ドラムとのバース・チェンジから後は、3人が合うようになるけど、すごいベースとドラムと演りながら、これではあかん。 トレトレピチタピチも遅いし、数も足らん。とにかく、スウィングしてない。 |
さて、レッド・ガーランド『At The Prelude』はブロック・コードのイントロから、ハネハネのテーマ、9〜16小節目のフレーズは独創的で好きです。20小節目のオブリガードの音使いもお気に入りですが、もっとメリハリがあれば・・・。
何度聴いても、左手の同じ音色のブロック・コードが気になって気になって正直左手はイヤなんですけど、アドリブの右手の音使いは、やっぱり凄いです。玉を転がすみたいで軽快、楽しい!(これにアクセントとダイナミクスがあれば、きっとセカンド・アイドルになってます)。
アドリブ3コーラス目のリフみたいなフレーズ8小節、これ好きです。ジョージ・シァリングみたい!けどその後の返しのフレーズがどんくさい。毎回ここでズッコケます。(R.Gファンの皆さんスミマセン)。・・・といろいろ書きましたけど、昔一生懸命聴いてコピーした大切な1枚、なんとなく時々気になるアルバムです。必死でガムシャラにレッスンを受けていた昔の自分を思い出す、”私の1枚”という感じで粗末にはできません。
師匠コメント |
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3人が一体となって、スウィングしている。ピアノ奏法は、好みではないけど、ちゃんとした演奏です。 |
100ゴールド・フィンガーズにも参加しているマリアン・マクパートランドの『Giants Of Jazz/Savoy Jazz』は、キーがG△です。テーマは、前半8小節をルバートで9小節目からベースとドラムが入るんですけど、こういったパターンは初めて聴きました。ある意味ショッキングで、うぉぉっと思いました。そのルバート、ミラー奏法(?)だと思うんですけど、左手と右手のラインが広がって印象的です。ブリティッシュ英語みたいな演奏で、上品に訛っている感じです。
28小節目の「come true」という部分、このテーマの弾き方は、繊細で何度聴いてもハッとします。こういう部分、真似してみたいなーと思います。この演奏の中で、この部分が一番気になる、お気に入りの個所です。頭の中の空想の映像が、パッと噴き出します。 アドリブは、コーラスを重ねてもカラー・チェンジしないようで、スリルを感じないんですけど(他の曲でもっと良い演奏があるので、この曲に関しては、アドリブは好きではないですけど)、ともかくあのテーマの部分はぜひ皆さんにも聴いて欲しいです。
師匠コメント |
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ベースとドラムがいい。ピアノは凝ったことをしているけど、スカッとしない。ミラー奏法ではない。上品には違いないけど、好みではない。 |